最近この漫画を読むと、
紙面から放たれる眩い光に浄化されて自分が灰になるんじゃないかと
本気で思う。
あらすじ
高校1年生の黒沼爽子は、長い黒髪と陰気な雰囲気から「貞子」と呼ばれ恐れられ、ひとりぼっちの学校生活を送っていた。そんな噂を気にせずに、爽子に親しく声をかける男子が一人。クラスの人気者、風早翔太だ。彼だけは、爽子の底抜けの性格の良さと、内に秘めた努力家な一面を知っていた。風早との出会いをきっかけに、クラスにもだんだんと打ち解けていく爽子。そして、風早への自分の気持ちにも、少しずつ気づいていくのだった―――。
ちなみにこの漫画、俺は完結まで読んでいない。
20巻くらいで止まっていたかな?
俺の中では、10巻の時点で完結しているので。
① 少女恋愛漫画の全てを詰め込んで煮詰めたような甘酸っぱさ
もう、あらすじを読めばわかる通り、
ベッタベタの激甘な超正統派王道少女恋愛漫画。
少女恋愛漫画の全ての美しい部分だけを集めて濾過して結晶化したような、
爽やかさのかたまりみたいな漫画。
もうこの漫画を説明するのに、以上の言葉はいらないくらい、
シンプルな恋愛少女漫画だ。
だが、逆に、ここまで王道を突き詰めた漫画は他にない!
もうね、主人公の2人がいいやつすぎる、
というか、登場人物が1人残らずいいやつしかしない、
ドロドロした展開もないし、
爽やかだし、キュンキュンするし、ときめくし、甘酸っぱいし、青春だし、純粋だしピュアだし美しいし、
もう読んでると紙面から聖なる光が溢れ出てきて自分の中の邪悪な心が浄化されていく感じが半端ない。
人間の汚れた部分に疲れ、もう美しいものしか見たくない、真っ白な聖なるものだけに包まれて浄化されたい、そんなことを考えているそこの貴方、オススメです。
心の中に真っ白な光がライフストリームのようにあふれ出て爽やかな気持ちだけで100%満たされることうけあいです。
② 「爽子」が可愛い、「風早くん」が可愛い
「風早くん」がいかに爽やかでイケメンで性格が良くて格好良くて可愛いかは天下に轟くところであるから、俺なんかがあえて語る必要はないだろう。
もし知らないって人がいたらそこら辺を歩いている君に届けが好きそうな女子を捕まえて良さを語ってもらえばいい。小一時間ノンストップで話してくれる。
だが俺はあえて「爽子」の可愛さを語りたい!
というか、俺はこの漫画においては
爽子の魅力 > 風早くんの魅力
だと本気で思ってる。
主人公の「黒沼爽子」がとにかく素晴らしい女性なのだ。
魅力的だし、可愛いのだ。
底抜けに性格が良くて、人の悪意を知らず、何でも好意的に受け止める。
それでいて意志が強くて言うべき場面ではハッキリとモノを言うし戦うべき場面では真正面から戦う。
ずっとひとりぼっちだったにもかかわらず一切暗くなることはなく、何でも楽しむ底なしのポジティブさを持ち、メンタルも強い。
優しくて友達想いで家族想いで愛情深い。
うーむ、書いてて風早くん以上にフィックションの存在だなぁって改めて思ったぞ。
こんな女の子いたら風早くんもそりゃあ惚れるわ。
実際、初めて読んだ10年前頃には、爽子こそ正に理想の女性だ!と思っていたよ俺は。
こんなに好感度の高い主人公はなかなかいないぞ。
風早くんも合わせたら文句なく少女漫画史上応援したくなるカップルぶっちぎりでNo.1だ。
この2人に感情移入して読んだら、そりゃあ面白くないわけがないさ!
③ 爽やかさ溢れ出る漫画の描き方
ストーリーやキャラクターが溢れんばかりの爽やかさで作られてることは再三解説したが、
この漫画は絵の描き方、演出、コマ割り、構図、そういったものも、その爽やかさを一滴たりとも逃さないように非常に綺麗に描かれている。
今、頭の中で思い返してみても、この漫画で思い浮かぶシーンは全て、綺麗な線で、爽やかな彩りで、吹き抜けるような空間と、ときめきを倍増させる構図で 演出された場面ばかりだ。
少女漫画と言えば、キャラクターの心情表現を効果的に描写するために
独特のコマ割りをすることが定例だけど*1
その強みを最大限活かした感じ。
そういった技術的な側面も含めて、
「君に届け」は、2006年時点で日本漫画界が辿り着いた、
少女恋愛漫画の究極形の到達点だ。
心の叫び
まったく、ヤったのヤらないのって下世話な話を繰り広げたり、
あっちにふらふらこっちにふらふらとドロッドロな展開ばかりを繰り返したり、
そんな漫画が大多数を占める今の少女漫画界において、
手すらつながずに10巻以上もこんなピュアな話を継続させる
この漫画はすごい!
手すらつながずに、告白すらせずに、
微妙な距離感にやきもきし続ける!
これだよー!これが少女漫画だよー!
こういうのを待ってたんだよー!!
と、心の中で絶叫したよ。
この漫画に出会ったときの当時の俺は。
特に、7巻の大晦日デートの回は最高!
5人で行くはずだったのに、親友2人の粋な計らいで
2人っきりで初詣に行くことになった爽子と風早、
このデートのために、思いっきりお洒落をしてくる爽子。
「あれ?ちづとあやねは?」
「…あやねちゃんは、来ない」
「………ちづちゃんも、来ない」
「…ん。…じゃあ、行こうか」
くぁぁああああーーーーーーーーーーっ!!!
最初っから最後まで甘酸っぱすぎるんじゃぁぁぁあああああーーーーーーーー!!!!!
もうね、本当に素晴らしいよ、この漫画は。
こんなに美しいものがこの世にまだ残っていることを神に感謝するレベル。
【この漫画を特にオススメしたい人種】
浄化されたい人
~バティ漫画ランキング(青年時代編)第2位『君に届け』~