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【読んだことない人へ捧ぐ】リアル が面白い3つの理由

リアル

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さて、前回まで、俺の好きな漫画を1位から10位まで順に紹介していったわけだが、

 

よく読んでくれた方はお気付きになられたであろう。

 

~バティ漫画ランキング(少年時代編)1位『SLAM DUNK』~

 

「この(少年時代編)ってなんぞや??」

 

実は俺の中で、大学入学以前に読んだ漫画は、思い出補正が強すぎて、

大学入学以降に読んだ漫画と正しく比較できないという悩みがあるのだ。

 

だったら、いっそ分けちゃえばいいんじゃね!?

 

ってコトで、俺の中では、

『2004年3月以前に出会った漫画のBEST10』

『2004年4月以降に出会った漫画のBEST10』

という2つのランキングがあるのだ。

 

そして、今日紹介するのは、

その『2004年4月以降に出会った漫画のBEST10』の第1位だ。

 

 

つまり、この14年で俺が出会った全ての漫画の中で、

 

最も面白かった漫画、ということになる。

 

 

 

 

 

作品解説

 テーマは「車いすバスケ」

SLAM DUNK』の 井上 雄彦 が描く、

障害者と健常者のまさに "リアル"。

1999年に連載開始され、現在で19年目を迎えるにもかかわらず、

既刊14巻という超~~~~~~~~~~~スローペースで連載中。

だけど、内容の濃さは他の漫画の追随を許さない。

今、一番続きを読みたい漫画No.1。

死ぬまでに結末を見たい漫画No.1。

休載してもいいからとにかく続いてほしい漫画No.1。*1

 

 

あらすじ

車いすバスケの類稀な才能を持ちながら、やる気のないチームメイトと衝突してチームを辞め、くすぶっている「戸川 清春」。

自分の起こしてしまったバイク事故で、女の子を一人、車いすの人生へと変えてしまった、健常者「野宮 朋美」。

そして、トラックとの衝突事故により、車いすでの人生を余儀なくされてしまう、「高橋 久信」。

3人の若者の『リアル』が、今ここに描かれる―――。

 

 

① まさに『リアル』に描かれる、障害者の姿

日本人は障害者を美化させすぎている、とはよく言われる。

しばしば「感動ポルノ」と揶揄されるくらい。

 

僕らがよく見る漫画や映画の中にいるのは、

弱者だけれども純真無垢で心の綺麗な可哀想な障害者の主人公。

そこにいるのは「心のキレイ」な「弱者」で、「特別」な存在。

実際俺の中でも、障害者ってのは無意識的にそういう存在だった。

 

 

この漫画を読むまでは。

 

 

この漫画に出てくる障害者は、「心がキレイ」でも「弱者」でも「特別」でもない。

性格の悪い奴、ひねくれてる奴、負けず嫌いな奴、挫折する奴、悪い奴、

いろんな奴が出てくる。

そして、1人の人間の中にも、

どうしようもなく弱い部分と、めちゃめちゃ強い部分がある。

 

障害者も、俺たちと何も変わらない、一人の人間。

そんな考えてみればごくごく当たり前のことを、

この漫画はめちゃくちゃ強烈な剛速球で投げつけてくる。

 

そして、「感動ポルノ」を浴びすぎて無意識に作られていた

僕らの中の「キレイな、だけど薄っぺらな、障害者像」を、

その剛速球で粉々に破壊してくれる。

 

 

② 3人目の主人公「高橋 久信」の存在

この漫画には3人の主人公がいる。

野宮、戸川、そして、高橋。

 

このうち、野宮と戸川は、見るからに『ザ☆主人公』って感じのキャラだ。

熱血漢で、おバカなところもあって、だけど、心の底は優しくて。

2人とも、第1話からわかりやすく主人公してる。

 

でも、高橋は違う。

登場シーンからしてただの脇役。

主人公の野宮にイヤがらせをする嫌な奴。

頭が良くてイケメンだけど、それを鼻にかけて他人を見下す嫌な奴。

どこにでもいそうな、主人公とは程遠い普通のキャラクター。

 

なのに、1巻の最初の方から、

何故か野宮や戸川と並んで表紙を飾っている。

まるで主人公のように。

読者は思う「なんでコイツが?」

 

1巻の途中まで読み進めると、

自転車を盗んだ高橋が、持ち主に追いかけられて、慌てて逃げる場面がある。

彼女を振り落とし、焦って自転車をこぐ高橋。

ページをめくると―――

 

 

 

 

 

見開きで、高橋の眼前に迫るトラック

 

 

 

 

 

この瞬間に、彼のその後の運命と、

そして彼が主人公である理由を読者は完璧に理解する。

 

そのあとはもう怒涛。

もう二度と歩くことができないという運命を受け入れられず、

周囲に当たり散らす高橋。

 

挫折し、絶望し、衝突し、

それでも自分の現実と向き合い、リハビリを進めていく中で、

高橋は少しずつ光を見つけていく。

そしていつしか、自分の中にある失っていた大切なものを取り戻していく―――。

 

もうね、この過程がドラマチックすぎて、

涙なしでは読めない!!

 

そして、これだけ彼に感情移入できるのは、

彼が「主人公らしい主人公」じゃないからなんだよ。

 

もし彼が野宮や戸川みたいな、「ザ☆主人公」って感じの心の強いキャラクターだったら、

「自分とは違う特別な人が頑張るどこか遠い世界のお話」になっていたはずだ。

 

でも、高橋が、どこにでもいる普通の弱い人間、

なんならどっちかっていうとちょっと(いや、かなり)嫌な奴だからこそ、

読んでて「自分ももし歩けなくなったら…?」って考えざるをえない!

 

だからこそ、彼が大切なものに気付き、立ち上がっていく過程は、

すっんごい心を突き刺してくるんだよ。

 

高橋はある意味最高の主人公だよ。

俺は今後高橋がどうなっていくのか、それが気になって仕方ないから、

この漫画の続きが読みたくてしょーがないんだよ。

もう高橋の人生の続きを、俺はもう4年も待っているんだよ!

高橋を待っているんだよ!!

 

早く続きを読ませてくれーーーーーーーーーーーーっ!!!!!

 

 

③ 魂を揺さぶる感動の名場面の数々

もちろん、リアルの主人公は、高橋だけじゃない。

野宮のストーリーも、戸川のストーリーも、波瀾万丈だ。

3人のストーリー全てに、魂を揺さぶる大きな山場が幾つもある。

 

戸川が虎さんに「ひとりじゃねーぞ」って言葉をもらえるシーン、

高橋が父親に初めて本音をぶちまけるシーン、

野宮の卒業式での演説、

戸川からヤマへのメッセージ、

スコーピオン白鳥の復帰戦、

野宮のトライアウト挑戦、

 

この漫画に何度泣かされたか、

もう、挙げていけばキリがない。

 

ネタバレになるから詳しくは語れないのが辛い!

彼らにどんな山場が待っていて、

読者にどんな名場面とどんな感動が待っているのか、

ぜひ、実際に読んでみて確かめてほしい。

 

 

まとめ

そして、リアルが教えてくれるのは、障害者の正しい姿だけじゃない。

 

人生の辛いこと、苦しいこと、大変なことを乗り越えるとき、

大切なものを、俺たちに教えてくれる。

 

野宮が、戸川が、そして高橋が、

悩み、もがきながらも、必死で壁を乗り越えようとするその姿に、

絶対に何か感じるものがあるはずだ。

 

 

彼らのリアルが、俺たちのリアルに、大きな勇気をくれる。

 

 

~バティ漫画ランキング(青年時代編)第1位『リアル』~

*1:ちなみにこれらのNo.2は全てHUNTER×HUNTER