俺物語!!
原作:河原 和音 作画:アルコ
2012年〜2016年 別冊マーガレット
全13巻 完結済み
あらすじ
高校1年生の 剛田 猛男 は、気は優しくて力持ちを地でいく大男で、同性からは鬼のように慕われるが、女には全くモテない。
対して、猛男の隣に住む幼馴染の同級生、砂川 誠 は、街を歩けば誰もが振り返るほどのイケメンで、女にモテモテ。
そんな二人はなぜか、小さい頃から大の仲良し。
ある日、猛男は電車内で痴漢に遭っていた女の子、大和 凛子 を助ける。健気で可愛らしい大和を、猛男は一目で好きになってしまうが…?
とにもかくにも、第1話を読め!!
この漫画、第1話がすでに爆速で面白いので、つべこべ言わずに第1話をサクッと読んでしまうことをオススメする。
今なら、第1話だけならネットですぐに無料で読めるから!
読んだ?
読んでない人はこの先読まなくていいから、まずは上のリンクから第1話を読んでください。
第1話から最終回まで、ずっと面白い!
で、第1話を読んで「面白い!」と思った人は、おそらくこうも思ったはずだ。
「面白かったけど、これ 第1話ですでに完結してね?こっから連載になって面白くなんの?」
少なくとも最初に読んだとき、自分はそう思った。
ところがこれが、第2話以降もしっかり面白かったんである。
『君に届け』なんかもそうだったけど、おそらくこれも、本来は1話完結の読み切りで掲載されたものが、好評だったんでそのままそれを第1話として続きが連載になった、というパターンのものなんだろう。
1話で終わらせるはずだったものの続きを描けって言われて、ちゃんと面白く描けるのがマジ素晴らしい。
心の底から善い奴しか出てこない、善人だらけのポジティブストーリー
で、なぜこの漫画は第1話でしっかりとオトしておきながら、13巻もの長期にわたって、その面白さを維持できたのか。
第1話だけ見れば、面白さのヒケツは、
・男臭い巨漢の、ブサイクではないにしろ決して中性的なイケメンではない、ゴツい男主人公(少女漫画なのに)という意外性
・序盤では冷めた感じのイケメンの(人によってはヤな奴に映る?)砂川が、とんでもなく善い奴だったというストーリー上のギャップ
・美女と野獣的な逆転サクセスストーリー
といったあたりに要素分解できるけど、これらのスパイスは第1話時点で既に使い切ってしまっている。
これだけ強力なカードを初手で全部切っても、面白さが長続きした理由、それは、
登場するキャラクターが全員、底抜けに善い人たちばかりだから。
まず、猛男、砂川、大和の3人がもう死ぬほど善い奴すぎる。
見ていてめちゃくちゃ気持ちいいし、3人ともとにかく可愛い、可愛すぎる。
猛男も砂川も人間デキすぎててやばいし、大和さんは全漫画史上でもトップクラスに理想の女性、理想のヒロイン、理想の彼女すぎる、可愛すぎて読んでてマジで惚れそうになる。
そして主人公3人以外も善人だらけ。
猛男のお父さん、お母さん、砂の姉ちゃん、西城さん、悠紀華ちゃん、織田さん、一ノ瀬さん、登場するありとあらゆるキャラクターがみんな善人で、読んでてとても気持ちがいい。
一見クールな砂の姉ちゃんとか、登場時はモブっぽかった西城さんとか、初登場時にさすがにコイツは好きになれないと思った一ノ瀬さんとかまで、ことごとく蓋を開けたらピュアで善人で可愛くて好きになってしまうの、ホント素晴らしい。
これは原作者の河原和音先生の世界観が大きいんでしょうな。作画が別の人だからわかりにくいけど、実はこの漫画は『高校デビュー』や『先生!』で有名な河原和音の作品だ。どちらも、善人ばかりが出てくるピュアな世界観の漫画。
登場人物が善い人ばかりで、世界観が優しくて、空気感があったかくて、発信されるメッセージがポジティブなものばかりだから、見てて底抜けに気持ちがいいし、読んでてめちゃめちゃ元気になれる。
落ち込んだときや後ろ向きになったときに読めば、明日を生きる勇気と元気をくれる漫画だ。
少女漫画なのに、メインテーマは「男の友情」
この漫画でもう一つ興味深いのは、少女漫画かつ恋愛漫画でありながら、物語の主題は実は「猛男と大和の恋愛」ではなく「猛男と砂川の友情」にあるってところ。
あんだけインパクトと魅力があるキャラクターである大和も、広い意味で言えば実は「猛男と砂の友情」というメインテーマを描くための舞台装置にすぎない。
それは読み切りだったはずの第1話の入りと〆が猛男と砂の描写であることからもわかるし、最終回のクライマックスが砂が猛男を殴るシーンであることからもわかる。
まぁ、現実にはあんな理想通りの男の友情なんてなかなか存在しないんだけどね。
でもいいのよ。フィックションなんだから。読んでて気持ちいいし、心暖まるから、それでいいのよ。
4,5巻収録の、西城まりやのエピソード
どのエピソードも好きだが、特にお気に入りなのが、4,5巻に収録されている、西城まりやさんとのエピソード。
この話はめちゃめちゃ語りたいことがあるので、ぜひとも別の機会に個別で語りたいと思う。
ちなみに『俺物語!!』はアニメの出来もめちゃくちゃ良いんだが、特にこの西城さん編は力の入れようがもの凄くて、クライマックスの西城さんの告白シーンでは夕暮れのエフェクトがかかって超超超感動的に仕上がっている。見ていて普通に泣きそうになってしまった。
だからアニメで見るのもオススメです。既に原作読破済みの人は、アニメの西城さん編(第16話)だけ見てもいいかもね。
というワケで、『俺物語!!』めちゃめちゃ面白いんで、未読の方はぜひ、既読の方はこれを機会にもう一度、読んでみてください!!