王様ランキング
各所で絶賛されていた漫画『王様ランキング』。
私も周りの人間に何回も勧められたので、読んでみました。
率直な感想
正直、自分にはあまり刺さりませんでした。
刺さらなかったというより、どこが魅力かを理解できなかったという方が正しいかもしれない。
「きっと、中盤どこかで爆発的に面白くなる箇所があるんだろう」と期待して読み進めていったら、そのまま第1章が終わってしまった、といった感じでした。
読もうか迷っている人がいたら、1巻だけ読んでみてください。それで面白さがわからなかったら、多分私と同じで、既刊最新巻まで読んでも面白いと感じない人だと思います。
魅力的だと思った部分
とはいえ「良い漫画だな」というのは、何となく分かりました。
この漫画の良い点、魅力を、自分なりに紐解いてみます。
この漫画の良さは、やはり、魅力的なキャラクター です。
陰謀が錯綜し、多くのキャラクターが対立し合い、戦いと殺し合いが頻発する漫画でありながら、根っからの悪人が出てこない点。
単に善人ばかりというわけではないんですよ。一見、悪そうな奴は結構出てくるんです。
でも、物語が進んでいき、その人の行動原理や過去の出来事が描かれていくと、その人も決して根っからの悪人ではない、ということがわかってきます。
登場人物全員が本当に愛に溢れているんですよね。黒幕であるミランジョも含めて。
結構人が死にそうな展開でありながら、最終的に全員が生きているのも、割と好きなところです。
特に魅力的な「ヒリング」と「デスパー」
中でも特に魅力的な二人の人物が、
王妃であり主人公ボッジの義理の母親である「ヒリング」と、
冥府の王の弟で主人公ボッジの師匠である「デスパー」の二人です。
ヒリングはこの漫画で一番の善人です。
善人ばかりの登場人物たちの中で、さらに輪をかけて性格が良いんです。
愛に溢れています。
普段は結構キツい口調で喋ったりするワガママ王妃様みたいに見えて、その実、誰よりも優しくて愛情豊かで、それを隠し切れていないところが愛おしいです。
実の子ダイダにも義理の息子ボッジにも分け隔てなく平等に愛を与えてますし、2人を命に換えても守ろうとします。
息子以外にも部下たちや周りの人間が死にそうになると、自分の身を顧みず回復呪文を使い続けて蘇生させようとしたりします。
主人公ボッジの行動理念の大きな中心の一つが、このヒリングを守ることにあるのも納得です。
デスパーはいわゆる賢人です。
主人公を賢く教え導く立派な師匠キャラでありながら、すぐ金に目が眩んじゃう俗物的なところもあるのが魅力的です。
人に教えを説いたりする部分では天才だし、その正義の心は本物ではあるんだけど、一方で欲まみれだったりしょーもないところがあるのも事実で、その二面性が人間臭くてとても魅力的なキャラクターに仕上がっています。
人を教えるのは上手いけど自身が戦うのはとても弱かったり、自分は王座に就いたら金に目が眩んで堕落するから王座はやめた方がいいと自分で理解していたり。
彼ら2人をはじめ、この漫画に登場するキャラクターは誰も彼も一元的ではなく、人間臭くて、愛おしくなるように作り込まれています。
総じて
そこまで大絶賛するほどの魅力があるかは自分にはわかりませんでしたが、ストーリーとキャラクターはかなり作り込まれていて、愛に溢れたストーリーと愛着の沸くキャラクターに心温まる漫画ではあります。
1巻読んでグッとくるものがあった方は、ぜひ最新巻まで一気に読んでみてはいかがでしょうか。