自分はQUEENをよく知らない。
それどころか、洋楽すらほとんど聴かない。
生涯でまともに洋楽を聞いたのは、2000年に『1』というビートルズのベストが出たときに、そのあまりにもメジャーすぎる曲ばかりを集めたアルバムを聴いたときくらいだ。
俺にとってQUEENとは、
『We Will Rock You』を作った人たちで、
ジョジョの「キラー・クイーン」の元ネタのグループ。
そんな程度の認識だった。
そんな俺が、何の前知識もなしに見ても、
この『ボヘミアン・ラプソディ』はめちゃくちゃ面白かった。
『ボヘミアン・ラプソディ』が面白いと、家族友人多方面の人から言われ、「QUEENを知らなくても全然面白いよ」と皆が口を揃えて言うので、普段映画鑑賞に付き合ってくれない彼女も、音楽関連の映画なら一緒に見てくれるし、せっかくだからまぁ見に行ってみるかということで劇場に足を運んでみた。
映画館を予約するときに、妹に一言忠告された。
「絶対にIMAXで見たほうがいいよ」
そのときはまぁ音楽関連の映画なんだからそりゃ音響がいい方がいいよなくらいの気持ちで、素直に忠告に従った。その言葉が俺が考えていたより遥かに大きな意味を持っていたことを知るのは見終えたときである。
終盤までの2時間近く。まぁ面白かったは面白かったんだけど、それは普通の伝記映画の範疇でしかなかった。フレディ・マーキュリーの波乱万丈な人生にハラハラドキドキしながらも、あくまで俺の心の中は、「普通の面白い映画」を見ているときのテンションだった。
それが、ラスト13分30秒で一転した。
あのラスト13分30秒は本当に魂が打ち震えた。
見ながら、この14分間はきっと映画史の伝説に残るに違いない。今で言う『ローマの休日』や『風と共に去りぬ』のように、何十年後かに映画好きが昔の古い映画を振り返って話すときに、この映画のこの14分が話題に上るんじゃないか。そんな風に思った。
この映画は、絶対に映画館で見た方がいい。
より正確に言うと、あの伝説の14分間は、絶対に映画館で味わった方がいい。
だから、この文章を読んでいる貴方がまだ『ボヘミアン・ラプソディ』を見ていないならば、今すぐに映画館に足を運ぶべきだ。
さて、ここから先は軽度のネタバレになるので、俺のように全く何の予備知識も持たずに一切の前情報を入れずに見に行きたいという人は、読まない方がいい。
ただ、「このこと」は予告編でも散々宣伝されてたことらしいので(一緒に見に行った俺の彼女は知っていた)、見ても問題はない。
でも俺は本当に何も知らずに見に行ったから、最後の14分間が始まった時には本当に驚いた。この驚きをこれから見に行く人にも味わってほしいから、できれば読まない方がいいかな。
この映画では、最後の14分間で、1985年7月13日に行われたライヴ・エイドでのQUEENの伝説のステージを、丸々完全再現しているのだ。
正確に言うと20分間のステージを14分に縮めてはいるが、そんなことは全く気にならないほどに本番のQUEENの一挙手一投足を、スタッフや観客の動きを、楽器を、ステージ上の小物を、当時の熱気と感動を、完っっっ璧に完全再現しているのだ。
これは、マジで、スゴイ。
14分間鳥肌が立ちっぱなし魂が震えっぱなしだった。最初の「Bohemian Rhapsody」のピアノがかかりはじめ、観客のワーッっていう歓声が上がり、フレディ・マーキュリーの「Mama」の歌声が響き渡る瞬間と、最後の「We Are the Champions」と共に手を振る大観衆が波のようにざわめくシーンは未だに忘れられない。
この映画は最後の14分間が全てだが、それに至るまでの2時間は全てその最後の14分間のために必要な時間である。「普通の面白い伝記映画」だった2時間が、全て最後の14分間のための布石だったということが最後に分かる。最後の14分間にあんなに魂が震わされるのは、それまでの2時間でフレディやQUEENのメンバーたちの人生をしっかり見てきたからだ。
このラストのライブの完全再現シーンが、ただ You tube で当時の映像を見るよりも感動するのにはいくつか理由がある。まず一つは、上記のようにその直前の2時間で彼らの背景をしっかり知れるのがその一つ。
二つ目は、映画ならではの理由だが、本番のライブでは絶対にありえないカメラワークでライブを味わうことができること。
更に、会場の様子に加えて、会場外のパブの様子や、テレビでこのライブを見ている人たち、募金を募っている裏方、そしてここまで映画に登場してきた人物たちの描写が次々に差し挟まれる。このライブが、会場であるウェンブリー・スタジアム内で起きた閉じた出来事ではなく、QUEENの歌声が全世界に響き渡っていたことがしっかりと描写されていて、それがまた魂を震わせるのだ。
三つ目は、これは俺が日本人だから存在する理由なんだが、歌詞の意味が日本語の字幕で出るということ。
QUEENをよく知らない俺ですら全ての曲が聞いたことがあり耳馴染みのある曲だったが、それにあんな意味が込められているということはこの映画を見て初めて知った。
そして、その歌詞の意味が、映画の内容とことごとくシンクロしているんである。
前半の2時間で描写された彼らの人生における苦難や葛藤や喜び、それら全てが最後のライブシーンの歌詞のあらゆる部分でフラッシュバックされる。こんなん感動せざるを得ないやん。
妹が絶対IMAXで見ろと言ったのはこういうことだったのか。
「音楽関連の映画」どころか「ライブを完全再現してる」んだもん。そりゃあIMAXで見なきゃダメだわ。
というか、むしろ応援上映で見たかった。
「Radio gaga」を聴きながら手拍子足拍子をしたくてたまらなかったし、気付いたら「We Are the Champions」を歌い出しそうになっていてヤバかった。
あぁ、あそこで映画の中の大観衆と一緒に「We Are the Champions」を大声で歌えていたらどんなに気持ちよかっただろうか…!
というワケでとにかく絶対にIMAXで見ることをオススメする。
できれば応援上映で見ることをオススメする。
『ボヘミアン・ラプソディ』、本当に映画館でやっているうちに見といて良かったわ!
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