社会人大学人見知り学部卒業見込
自分はオードリーの若林さんが好きだ。
オードリーの漫才を全部見ている!というほど熱心なファンではないが、
「激レアさんを連れてきた。」や「ひらがな推し」は彼が司会をやってるからこそ見ている、と言えるくらいには好きだ。
こないだの「IPPONグランプリ」でも、くっきーや大悟みたいなのも好きだけど、俺はやっぱり若林さんや設楽さんやバカリズムみたいな、ロジカルな笑いの方が好きだなぁと思って見てた。
あと「激レアさん」や「ひらがな推し」もそうだけど、彼の直截というか遠慮のないというか歯に衣着せないツッコミがいいんだよね。忖度がなくて言葉選びが巧みだからめちゃくちゃ面白い。
「毒舌」とか「辛辣」と言うと、鋭利な刃物でスパッと切り捨てるイメージだけど、彼のはそうじゃなくて、もっと「ゆるい」イメージなんだよね。そのゆるさがまたいいというかなんというか。
そんな若林さんのエッセイを、本屋で見かけた。
立ち読みで序章から読み始めてみると、その文章の読みやすさと面白さに夢中になり、気付いたら序章を全部読み終わってしまっていた。
オードリーがブレイクしてから初めてまともに社会というものを経験して、そのときどう思ったかをありのままに書いていたんだけど、これがまた面白いんだ。
一旦は棚に戻したんだけど、その本屋に併設されているカフェで休憩しようと思ったら、「購入前の本を3冊までお持ち頂けます」の文字が。
思わずそのまま回れ右し、もう一度この本『社会人大学人見知り学部卒業見込』を手に取り、そのままカフェに入店した。
コーヒーを飲みながら続きを読み始め、人生はジェットコースターみたいなものだというくだりのところまで読んで、ジェットコースターの合間にソフトクリームを食べてる時間こそが幸福なんだという部分に深く共感し、感動して、ぱたんと本を閉じ、こう思った。
「よし、これ、買おう。」
全部読み終わっての感想。
まずは、読書家なだけあって、文章がとても上手い!すごく読みやすいし、かつ面白くて、さすが言葉のプロだなと思わされる。
そして、ところどころ、すごくグッとくるフレーズや、思わずうぅむと深く頷いてしまう言葉が登場する。今後の人生を生きていくうえですごく大事なことを気付かせてくれる本でもあるのだ。
とりあえず、ジェットコースターのくだりと、黒ひげ危機一髪のくだりは、もう一度読み返して蛍光ペンでアンダーバーを引いておこう。売れなくなっちゃうけど、それでいい。
あと、すごく共感できる本でもある。若林さんは自分をマイノリティで変わり者だと信じ切ってこの本を書いているし、もしかしたら本当にそうなのかもしれない。少なくとも自分とは真逆のスタンスの人間だから、俺には若林さんの気持ちはわからない。
けど、「共感」って多分、「俺と同じ人間だなぁ」ってだけじゃないと思うんだよね。
「俺とは全然違う人間だし、俺はそういう気持ちになったことはないけど、そう言われると、何か、わかる気がするなぁ。」っていうのも、立派な「共感」なんだと思う。
そして、彼の文章は、そんな「共感」を生み出すのがすごく上手い。
この文章が若林さんの目に触れる機会なんてないと思うけど、この広い電子の海で一応全世界に向けて公開している以上、これは言っておきたい。
貴方の文章は、貴方とは真逆のような人間にも届いてますよ、と。
「なんだこいつ中二病だよウケるははは」じゃなくて、「なんか分かる気がするなぁ」と思われてます。本当はわかってないのかもしれないけど、少なくとも何だか好感を持ってしまって益々ファンになってしまった人がここに一人います。
この本を読んで、無性に若林さんのトークが聞きたくなって、今週の「激レアさんを連れてきた。」をすごく楽しみにして見た。
相変わらず、弘中さんのゆる~い解説と若林さんの歯に衣着せぬツッコミが相性抜群で、めちゃめちゃ面白かった。