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【ジョジョ】承太郎が「DIOのスタンドの秘密をしゃべってもらう」と言った理由・前編

ジョジョの奇妙な冒険

第3部 スターダストクルセイダース

 

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大人気漫画であり、自分の最も好きな漫画の一つである『ジョジョの奇妙な冒険』

その中でも、王道少年漫画としては最高傑作であり、私が最も好きなパートである『第3部 スターダストクルセイダース』

さらにその中でも、最も主人公たちジョースター一行を苦しめた強敵との戦いであり、作中屈指の超人気エピソードである『ダニエル・J・ダービー 戦』

 

そのクライマックスシーンで主人公の承太郎が強敵ダービーに放った一言

「DIOのスタンドの秘密をしゃべってもらう」

この一言に込められた意味について、今回は考察していきたいと思う。

 

長くなってしまったので、前後編に分けて語っていこう。

 

 

はじめに

そもそも、子供の頃にこのシーンを読んだとき、「この一言ってカッコ悪くね?」と思っていた。

ここまで本当に面白くてページをめくる手が震えていたのに、ここに来て、この大事な場面で、妙にテンポが悪いこの台詞。

 

普通に「てめーの命を賭けな!(ビシッ!)」とかでいいじゃん。

「DIOのスタンドの秘密をしゃべってもらう」って、語呂が悪いし、クライマックスシーンの決めの一言としてはいまいちじゃね?

そう思っていた。

 

ところが、このシーンで承太郎がダービーに掛ける一言は、この言葉じゃないとダメなんである。

 

 

① ただ死ぬんじゃなく、「DIOに殺される」という恐怖

死よりも大きな恐怖

この一言を承太郎に掛けられたとき、ダービーは驚きすぎて椅子から転げ落ちている。

アブドゥルが「裏切り者は殺されてしまうというわけか…」というモノローグを入れてるせいで、このリアクションを、ダービーが「自分が死ぬ」という恐怖にビビって転げ落ちたと思っている人もいると思うが、自分は違うと思う。

 

ダービーほどのギャンブラーなら、これまでも、自分の命を賭けたギャンブルに臨んだことはいくらでもあっただろう。だから、自分の命を賭けろと言われたぐらいで、自分に死の可能性が出てきたぐらいで、こんなにビビるはずがない。

 

問題は、負けたときに「DIOを裏切って、DIOに殺される」という形で死を迎えなければならないということだ。DIOを裏切った者の殺され方が、通常の死に方の何倍も恐怖に満ちていることは想像に難くない。この一言で、承太郎は、死よりも恐ろしい恐怖をダービーに突きつけたのだ。

 

裏切ること自体が恐怖

もっと言うと、そもそも恐ろしい死に方をするとか以前に、ダービーにとっては「DIOを裏切ること自体が大きな屈辱であり、恐怖」なのだ。

これ以前に承太郎が戦った強敵 ゲブ神のンドゥール がそうだったように、DIOを心酔して崇拝している者にとっては「死ぬのはこわくない。しかし、あの人に見捨てられ、殺されるのだけはいや」なのだ。

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ここで負けたら「DIOに見捨てられ」るような行動を取らなくてはいけないかもしれない。それ自体がダービーにとっては最大の屈辱であり、恐怖なのではないか?承太郎はそう推測したんじゃないだろうか。

 

ちなみに後編で考察するが、この戦いより以前に ンドゥール と対峙していることは、この戦いで非常に大きな意味を持っているんじゃないかと、自分は思っている。

 

 

② なぜ承太郎は、自分が「DIOのスタンドの秘密を知っている」ことを知っていたのか?

知るはずがない事実を知る承太郎

この台詞の最大のポイントはココ。

そもそも承太郎には、ダービーが「DIOのスタンド能力」を知っているかどうかなんて、知るはずがないのだ。

にも関わらず、ハッキリと「DIOのスタンドの秘密を喋れ」と言い切ったこと。

これがダービーの最大の驚きだったに違いない。

「な…なんでコイツは、俺がDIO様のスタンド能力を知っていることを知っているんだッ!?」

 

だけど百戦錬磨のダービーのことだ。すぐに「いや、これはブラフだ。俺がDIO様のスタンド能力を知っていることを知るはずがない。カマをかけて、ビビらせて降ろそうってハッタリに決まってる」と気付いたはずだ。

 

しかし、一度でも「でも、もしかしたら…?」と思ってしまったら、もうその恐怖は拭えない。

 

しかもそのわずかな恐怖を増大させるために、ここまでに承太郎はしっかりと『仕掛け』を打ってきている。

タバコに火をつけたり、ジュースを持ち込んだり、不可解な行動を取っていたのは、すべて このときの疑心暗鬼を最大限増幅させるため の布石だったのだ。

 

 

全てはこのための賭け金(ベット)だったのでは?

そしてここでダービーがもう一つ考えてしまった(正確には、承太郎に考えさせられた)ことは、「承太郎のここまでの行動は、全てこのため(=DIOのスタンドの秘密を引き出すため)だったのでは?」ということ。

承太郎はここまで、自分の命、ポルナレフとジョセフの命、アブドゥルと花京院の命、ホリイの命と、不自然なぐらい賭け金(ベット)をつり上げてきた。明らかに、ダービー1人を倒すため(ダービー1人の命)とは釣り合わない額だ。だからこそ、ダービーは「これは私を降ろすためのブラフだ」と考えていた(そして、実際それは正しかった)のだが…。

 

ここにきて初めて、承太郎が「DIOのスタンドの秘密を手に入れる」という 明らかに自分にメリットのある賭け金 を提示してきたのだ。ダービーを倒し、ポルナレフとジョセフを取り戻し、DIOのスタンドに関わる重大な秘密を入手できるとしたら…、今賭けている膨大な額のベットと、確かに釣り合うのだ。

承太郎がめちゃくちゃに高額なベットをしてきたのは、DIOのスタンドの秘密というその額に見合うだけの対価を手に入れるためだとしたら?もしそうだったとしたら、これは自分を降ろすためのブラフではなく、確実に勝つ見込みがある ということになる。

ここまで承太郎のレイズ(上乗せ)はブラフだと確信してきたダービーにとって、このわずかな可能性は、その確信を大きく揺らがせるのに十分だったに違いない。

 

 

前編まとめ

承太郎が「DIOのスタンドの秘密をしゃべってもらう」と言ったのは

① ダービーに死よりも大きな恐怖を突きつけるため

② ブラフで降りさせるのではなく、勝って対価を手に入れるつもりだという可能性を考えさせるため

 

以上の利用から、ここで承太郎がダービーに掛ける言葉は、

「DIOのスタンドの秘密をしゃべってもらう」

でないとダメだったんである。

 

 

次回・後編

〜承太郎が本当に賭けたカードとは何か?〜

 

 

ジョジョの奇妙な冒険 23 (ジャンプコミックス)

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