俺はジブリが大好きだ。
中でも、ラピュタが一番好きだ。
ラピュタの魅力は、
一つは、ラピュタそのものの美しさにある。
スタジオジブリは、ノスタルジーをかきたててかつ美しい風景を作り上げる天才集団だ。
『耳をすませば』の住宅街、
『となりのトトロ』の田園風景、
『魔女の宅急便』の西洋の街、
『借りぐらしのアリエッティ』の一軒家、
どれもこれも、ものすごく美しいうえに、
なぜか、胸が痛くなるほど懐かしさが込みあげてくる。
西洋の街になんか住んだことがないはずなのに、
というかまだ小学生で懐かしくなるほどの記憶もないはずなのに、
前世の記憶が呼び起こされるようなどうしようもない「懐かしさ」に、
子供のころはジブリ映画を見る度に心震えていたもんだ。
その美しくて懐かしい風景描写の最高峰が、「ラピュタ」だと思っている。
何百年も人が入り込まずに、
木や草や花や森や緑が生い茂った、失われた文明の街。
水の底に沈んだ、かつて栄華を誇った高層建築がそびえ立った街並み。
しかもそれが、はるかな空の上に浮かんでるんやで!?
あれこそ、まさに桃源郷の世界だ。
子供のころ、見ながら何度ラピュタに行きたいと思ったことか。
もう一つの魅力は、息もつかせぬ盛りだくさんの展開だ。
2時間を超える、アニメ映画としては異例の長さながら、
見ていて一切飽きることはない。
というか、見終わって「え、もう終わり?」と物足りなさを感じることもないし、
長すぎて見終わった後疲れ切ってるということもない。
めちゃくちゃちょうどいい。
ラピュタのこの絶妙な上映時間の長さは神がかってると思う。
そして、その2時間の間にこれでもかというほど見せ場が盛り込まれている。
というか、全編見せ場。
中だるみとか一切ない。
見る側を飽きさせないためにアクションシーンが多分に盛り込まれてるのもその一因だろう。
前半の線路上でのカーチェイスから、燃え盛る軍基地での攻防、ラピュタ到達をめぐる竜の巣での飛行、そして、最後のラピュタでの戦い。
こんなに起承転結が完璧でストーリーの流れに無駄がない映画はそうそうないよ。
最近のジブリはオチが哲学的というかわかりにくくなってるけど、
この映画はめちゃくちゃわかりやすい話なのも良い。
他にも、ドーラとムスカのキャラが良すぎるとか、
メインテーマの「空から降ってきた少女」の曲が良すぎるとか、
死ぬほど語りたいことがあるけど、ここでは割愛。
子供の頃から、ジブリを子守りがわりに見せられてきたから、
物心つく前から小学生中ごろまでにかけて、ラピュタのVHSを
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
見たけど、
高校生になって、あらためて久しぶりにDVDを借りて、
CMも入っていないラピュタを、部屋の電気も消して映画館っぽくして、
正座をして気合を入れてちゃんと見たら…
なんて素晴らしい映画なんだ!!
と、めちゃくちゃ感動した。
そのあと1ヵ月間、ラピュタの余韻が素晴らしすぎて
清く正しく生活できたぐらい。
あのときの衝撃は未だに忘れられない。
他に映画を見て、あんなにガツンと頭を横から思いっきり殴られたような感動の衝撃を受けたことってあったかな?
とにかくラピュタが好き。
誰か、夜通し一晩ラピュタを語りませんか?
目玉焼きを乗せたトーストでもかじりながらさ。