Different Seasons
1982年にスティーブン・キングが発表した、
4篇の作品が収録された、中篇作品集。
『マンハッタンの奇譚クラブ』
の4つの物語が納められている。
このうち、『スタンド・バイ・ミー』は、
先日も紹介した、映画「スタンド・バイ・ミー」の原作。
そして、『刑務所のリタ・ヘイワース』は、
あの超有名映画「ショーシャンクの空に」の原作だ。
正直、自分にとっては、
『マンハッタンの奇譚クラブ』は、
魅力がよくわからないというか、
おまけ的な作品にしか感じられなかったが、
の3篇は、
どれも甲乙付け難いほど面白かった!!
『刑務所のリタ・ヘイワース』の 美しさ 、
『ゴールデン・ボーイ』の 怖さ 、
『スタンド・バイ・ミー』の 儚さ 、
どれも違った魅力があり、
どれも同じくらい夢中になって読ませる力がある。
「スタンド・バイ・ミー」と「ショーシャンクの空に」は、
共に超有名大ヒット映画であり、異論なしの超傑作映画だから、
どちらも原作も映画も素晴らしいんだけど、
「スタンド・バイ・ミー」は、
森の緑をはじめとして、視覚に訴える描写が多いからか、
強いてどちらかというと、映画の方にやや軍配が上がる。
それに対して、「ショーシャンクの空に」は、
原作の『刑務所のリタ・ヘイワース』の方を、
俺は、あくまで俺はだけど、強く推す。
理由は2つあって、
ひとつは、映画というのは2時間という時間制限があるから、
たった2時間で結末までを一気に見てしまうと、
どうしてもあっという間の出来事に感じてしまう。
対して、小説の場合は、毎日少しずつ読み進めることで、
アンディの刑務所での長い長い日々を追体験することができる。
そうして原作の時間感覚をしっかりと嚙み締めた上で、
あの結末を読むと、たった2時間の映画では得られない、
大きなカタルシスを感じることができるんだ。
もうひとつは、アンディがあの結末に至るまでに、
いかに困難な道を辿ってきたのかが、映画では描かれていないこと。
彼がどれだけ細い細い糸を手繰り寄せたのか、
どれほど小さな可能性に賭けてきたのか、
そのためにどんな辛く苦しい日々を送ってきたのか、
その詳細な解説が、原作での最大の感動ポイントなのに、
映画ではそれが省略されてしまっている。
だから、俺は原作の『刑務所のリタ・ヘイワース』の方が好き。
最も、映画の「ショーシャンクの空に」も大好きだし、
素晴らしい映画ではあるんだけどね。
ちなみに、この物語の結末は、
俺が人生で一番びっくりした「大どんでん返し」でもある。
当時まだ幼い中学生だったからってものあると思うけどね。
俺にとってはシックスセンスよりもSAWよりも結末に驚いた話だよ。
まだ見たことない結末を知らない人は、
ぜひネタバレなしで一度見るか読むかしてみては?
本当に心から面白いと思える本や小説に出会ったときって、
無我夢中で結末まで一気に読み進めてしまう。
電車の中でもトイレの中でも続きを貪り読んじゃうし、
睡眠時間を削って深夜遅くまで夢中で読んでしまう。
ここまでなら、本を読む人ならば誰しも経験があると思う。
でも、この感覚にはさらに「上」がある。
それ以上に、さらに人生で最高峰に面白いと思える本に出会ってしまったときって、
その時間が終わるのがもったいなくて、一気に結末まで読めないんだよ。
寝る前の、一番心穏やかになれる時間に、
一日に一章だけ、大事に大事に読んでしまう。
どんなに続きが気になっても、それ以上は読まない。
読めない。
だって、この傑作を、そんなスナック菓子のようにバリバリ食べるなんて、
勿体なくてとてもできないもの!
人生でここまでの気持ちになったのって、
実際に一日一章ずつ大事に大事に読んだのって、
人生でたったの二冊だけ。
この『Different Seasons』だけだ。
っていう話をした後で、
後輩にこの本を読ませたら、
「これがバティさんのオールタイムベストですかぁ?」
と、ちょっとがっかりした顔をされた。
どうやらハードルを上げすぎたらしい。
確かに、思い出補正は多分に入っているかもしれない。
でも、この本に小説では人生で一番感動したのは確かだし、
今でも大好きだ。
『スタンド・バイ・ミー』の一節を借りると、
「人生の大切なものを、他人にわかってもらうのは、難しい」
~バティ小説ランキング 第1位『Different Seasons』~
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