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【読んだことない人へ捧ぐ】金田一少年の事件簿 が面白い3つの理由

金田一少年の事件簿

 

ジッチャンの名にかけて!

 

「謎はすべて解けた!」

 

「犯人はこの中にいる!」

 

 

名探偵コナン」と人気を二分する、

言わずと知れたミステリー漫画の金字塔。

 

俺は普段から公言している通り、根っからの「コナンより金田一派」である。

コナンと金田一を比較してどこが金田一の方がいいかは今日の主旨からズレるので、また次の機会にするが、とにかく金田一が大好きだ。

 

どんくらい好きかって言うと、最近マガポケで連載中の『犯人たちの事件簿』のネタが特に読み返さなくても全部わかるくらいには大好きだ。アレ、相当マニアックなネタ描いてあると思うんだけど、50万部も売れてるんだよね。みんなそんくらい金田一が好きなのかなぁ。

 

 

 

作品解説

少しだけ前知識を入れると、金田一とコナンの違いを一つだけ挙げるとしたら、コナンは日常の中での単発殺人事件が多いのに対して、金田一は主にクローズドサークルでの連続殺人事件が中心だ。館や離島に閉じ込められて、そこで3人も4人も次々に死んでいく連続殺人が起こる。

舞台も「雪山」「タロット」「マジシャン」など事件ごとに一貫したテーマが設定されているので、事件ごとにそれぞれ違った雰囲気が味わえて飽きがこない。

残念ながら最近の金田一はちょっとパワーダウンしているが、初期の金田一は本当に面白かった。特にFILEシリーズと呼ばれる1巻~27巻、「オペラ座館殺人事件」~「速水玲香誘拐殺人事件」までにスポットを当てて今回は話していこう。

 

さて、『金田一少年の事件簿 -FILEシリーズ-』が面白い理由は何なのか。

3つの観点から掘り下げていこう。

 

 

① 漫画ならではの「ミステリー入門」

考えてみれば、漫画ほどミステリーに向いている媒体はない。

情景を言葉で説明しなくても、置いておきたいヒントはさり気なく絵の中に書き込めばいいし、逆に隠しておきたいものは描き方次第でいくらでも隠しておける。

小説だとこうはいかない。読者に示したいヒントは全て文章で説明しなければいけないし、部屋の様子や建物の間取りなんかも全て文章で説明する必要がある。

アニメだと今度は時間の流れ的な部分でごまかしが効かないし、実写なんか更にごかませない部分だらけだ。

最も「ごまかし」と「わかりやすさ」が両立されているのが、漫画という媒体なんである。

 

そしてこの漫画ならではの長所が一番生きるのが「解決編」だ。

なんてったってトリックがどんなだったか「絵」で説明できるのだ。これは小説にはない大きな強みである。*1

そして金田一はその強みを最大限に生かしている。解決編では毎回必ずと言っていいほど、金田一によるトリックの「再現」がダイナミックに行われるのだ。ときには小道具を使いながら、ときには金田一自身がアクロバットに動き回りながら、大胆なトリック再現劇が大々的に行われる。*2

 

金田一の解決編は面白い。ただトリックや証拠を言葉で説明するだけじゃなく、読者が楽しめるように、少しずつヒントを提示しながらだったり、実演を交えながらだったり、犯人に罠を仕掛けたり、読んでて飽きないようにする工夫と、ミステリーに慣れていない人にもわかりやすく伝える工夫が随所に凝らされている。

 

金田一のトリックはパクリも多いし、よくよく考えたら無理なトリックだってあるし、ミステリーに慣れている人ならすぐに分かってしまう部分も多いけれど、その分、初めてミステリーに触れる人にとっては、ものすごく分かりやすく、かつ衝撃的に面白い。実際、自分も金田一がなかったら、東野圭吾もシャーロックホームズも古畑任三郎も見ていないかも知れない。

 

漫画ならではの長所を最大限に生かした、分かりやすさと面白さを重視したミステリー入門、それが『金田一少年の事件簿』だ。

 

 

② とことんこだわった「恐怖を煽る演出」

金田一は怖い。

ハッキリ言って、めっちゃ怖い。

いや、大人になった今初めて読んだらどうかわからないけど、子供の頃は読んでてめっちゃ怖かった。

 

まず、金田一の犯人はほとんど決まって、ある "怪人" の名前を名乗る。「七人目のミイラ」とか「放課後の魔術師」とか。時には実際に仮面を被ったり仮装したりして他の人間の前に姿を現すこともある。そして、この怪人たちがめっちゃ怖い。

正体はこの場にいる誰かだから、ただの人間であることは頭ではわかってるのに、こんなに怖いのはなぜか。ひとえに演出が上手いからだ。初期の金田一の、読者の恐怖をあおるための演出へのこだわりはすごい。コマ割り、ページをめくった瞬間、怪人のビジュアル、あの手この手で読者を怖がらせてくる。

 

また、死体の登場シーンへのこだわりもすごい。特に1体目の死体の登場シーンは毎回すさまじいこだわりだ。「オペラ座殺人事件」の "舞台照明に押しつぶされた女の子" や「異人館村殺人事件」の "首のない花嫁" が未だに忘れられない人も多いだろう。これから恐怖の殺人事件の世界へ誘うぞっていう重要なシーンが「第一の死体発見」だから、ここは毎回どうするかすごい考え抜いたんだろうなぁっていうのが今振り返ると分かる。

 

とにかく、単なるミステリーではなく、恐怖や緊張を煽るためのこだわりがすごいのだ。残念ながら最近の金田一ではここの部分の手を抜いてしまっているが、初期の事件はこの演出の完成度が恐ろしく高い。

 

 

③ あまりにも悲しすぎる「動機」

普通のミステリーならば、事件が起こる「問題編」、トリックの種明かしをする「解決編」ときて、それで終わりだ。ところが、金田一にはその後にも重要なパートが存在する。

犯人がなぜ殺人を行うに至ったのか、その原因となった過去の出来事を回想する「動機編」だ。普通のミステリーならばおまけに過ぎないこのパートだが、『金田一少年の事件簿』では最大の魅力と言っていいぐらい、この動機編が面白い。

 

なんてったって、動機となる出来事があまりにも重い。殺された連中が極悪人すぎて、「こらぁ殺されても仕方ないだろ…」と思って犯人に同情するぐらい、酷くて悲しすぎるときもある。*3そうじゃなくても、犯人が犯行に及んだバックストーリーはどれもしっかりと作り込まれてて、問題編や解決編に劣らぬ読み応えがある。

また、この動機を解き明かす中でも、作中の伏線が回収されたり金田一の推理による指摘が入ったりして、謎解き的な意味でもまだまだ楽しめる部分だったりする。*4

 

金田一の魅力といえば「動機編」だよね。といえば、金田一既読者なら「うんうん」「わかる」と100%言ってくれるだろう。それぐらい読み応えがある。

 

 

まとめ

恐怖をあおる演出にこだわり抜いた「問題編」

漫画ならではの長所を最大限に生かした「解決編」

読み応え十分な「動機編」

最初から最後までたっぷりと楽しめるミステリー入門漫画、

それが『金田一少年の事件簿』。

 

読んでない人には普通にオススメである。

特に12巻~21巻、「金田一少年の殺人」~「魔術列車殺人事件」はハズレがない*5し、とっつきやすさから言っても最適な事件が揃い踏みしてるので、このあたりから読んでみるのもオススメする。普通に1巻から読んでもいいし。

 

【この漫画を特にオススメしたい人種】

ミステリー初心者の人

 

金田一少年の事件簿 (1) (講談社コミックス (1874巻))

金田一少年の事件簿 (1) (講談社コミックス (1874巻))

 

*1:アニメや実写も当然ながら同じ強みを持っている

*2:ここがコナンとの一番の違いである。

*3:特に「怪盗紳士」「墓場島」あたりはエグい

*4:例えば「タロット山荘」

*5:いや、FILEシリーズにハズレなんてないんだけどね