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【感想】ハリー・ポッターと死の秘宝 を読んで

ハリー・ポッターと死の秘宝

 

 

どうでもいい前書き

このブログで「ハリー・ポッターの最終巻を読みます」宣言をしてから、はや9ヶ月。

更新が止まったのを見た人は「あ、こいつ結局読まなかったな」と思ったに違いない。

 

実はあの後すぐに、死の秘宝はとっくに読破していたのだが、今度は「感想をブログに書こう書こうと思ってずっと書けないでいる」という現象に陥っていた。

下巻を読み終えたのが2021年9月28日だから、前回の11月23日の1~6巻の感想記事を書いていたときにはとっくに読み終わっていたことになる。

読み終えてすぐに生まれて初めて犬を飼い始めてしまい、忙しさに追われて書かずにいるうちに、読み終えた直後の熱も冷めてしまった上に、書こうと思っていた内容がいくつか飛んでしまったのだ。

もうこうなったら最終巻だけもう一度読み返してからあらためて感想を書こうなどとまた余計なことを考え始めた結果、あっという間に9ヶ月間が経過してしまった。

最終巻を読む読む詐欺を13年も続けた上に、

今度は最終巻の感想を書く書く詐欺を9ヶ月も続けるという。

 

もはやこんな更新が止まった場末のブログなど誰も見ていないだろうが、

自分自身のために感想を思いのままに思い出しつつ書き残すことにする。

 

熱すぎるホグワーツ城での最終決戦!

読み終えて9ヶ月経って、思い返したときにすぐに思い出されるのは、

やはり最後の最後、ホグワーツでの最終決戦の熱さと面白さ!

 

「死の秘宝」は、ラスト9割ぐらいまでずっと辛い辛い2人きりや3人きりでの孤独な旅が続くからこそ、最後の最後で、原点の舞台であるホグワーツに戻ってきて、今までの味方が全員集結しての最終決戦はめちゃくちゃ熱いしカタルシスがすごいね!!

 

特にネビルが最後の分霊箱であるナギニをグリフィンドールの剣で一刀両断するところはもう魂震えすぎてマジで「のわーー!!」と変な声をリアルで上げてしまった。

最後の最後、決めてくれるのがもう一人の運命の仔であり、持たざる者であるネビルってのがね…。

しかも「真のグリフィンドール生」の証であるグリフィンドールの剣をネビルが振るうってのが最高なのよね…!

あぁ、もう、ネビル、1作目の「賢者の石」のラストからアンタ最高だったけど、まさかあんなに鈍臭かったアンタがこんなに格好良くなるなんて…!

 

映画では中庭の隅っこみたいなところで一人でナギニを斬ってたけど、原作では確かダンブルドア軍の大軍勢の先頭に立ってヴォルデモートに啖呵を切った上でナギニを一刀両断するんじゃなかったっけ?そんな記憶があるんだけど、美化されてるだけかな?その辺確かめるためにももう一度読み返したい。

 

とにかく、「運命の仔になり損ねた普通の子にして、もう一人の主人公」であるネビルの活躍を始めとして、ホグワーツでの全員集合最終決戦からの大逆転の熱さとカタルシスが、最終巻を読み終えて9ヶ月経って、最も心に刻まれている出来事でした。

 

マクゴナガル先生も格好良かったなー。

映画でもスネイプを撃退するところはバッチリ再現されてましたね。

あそこはマジで胸がスッとしたわー。

 

地下の屋敷しもべ妖精たちや、禁断の森のケンタウロスたち、グロウプまでも含めて、1~6巻の今までに登場したありとあらゆる種族、味方、キャラクターが総動員で死喰い人たちと戦う展開は、古き良き王道少年漫画好きにはたまらなすぎる展開ですよ!

まるでうしおととらの最終決戦を見ているようだった。

ディ・モールト・ベネですわ。

 

切なすぎるスネイプの人生

そして「死の秘宝」といったら外せないのが、やはりスネイプの過去。

まーね、いくら13年間ネタバレは避けて生きてきたとは言っても、これだけ世間でのスネイプ人気の高さを目の当たりにしてきたら、最終的にはやっぱりスネイプはいい奴側だったんだろうなーとは分かっていましたよ。

そうでなくてもダンブルドアがあんなに信用し続けた時点でメタ的に言えば悪役側な訳はないし。

ただ、ダンブルドア殺したのを始めとして死の秘宝ずっと読んできてもやってることどうやってもフォローできないほど悪役側だし、こっからどうやって逆転すんだろうなーとは不思議に思っていた。

 

いやぁ、想像以上だったね…。

こりゃあ、キツすぎるというか、切なすぎんだろ…。

 

ダンブルドアでさえ冷酷に突き放した(ように見えた)ハリーを最後まで守ろうとした愛情もそうだし、最大の恩師を自分の手で殺さなければならなかった運命、ハリーやマクゴナガルをはじめ、味方の全員に憎まれながらも自らの使命を全うしたその姿、本当に格好良いし、切なすぎる。

一方で、1~6巻でずっと見せていた、ハリーに対する理不尽で心底腹が立つ意地の悪い仕打ち、ハリーに対する憎しみもまた本物なんだよね。

スネイプはリリーを心底愛していたけれども、ジェームズを心底憎んでいた。そしてハリーにリリーとジェームズの両方の姿を重ねていた。だからハリーには本物の愛情と本物の憎しみっていう、2つの複雑な感情を入り混じらせることになった。

それでも、結局は最初から最後まで徹底して、自らの命を賭して、心底憎んだ男の息子であるハリーを守り続けた。

こんな切ない話があろうか。

 

ラストシーンで、ハリーが息子に名前の由来を語る場面が、もうね…。

「セブルス、父さんが知っている人の中でも、おそらく一番勇気のある人だった」

作者がこのくだりを一番最後に持ってきたことからも、スネイプこそがこのハリー・ポッターという全7巻の長い長い物語の、もう一人の主人公だったってことがわかる。

 

セブルス=スネイプ。

本当に切ない、愛憎渦巻く、でも格好良い、これ以上ない魅力的なキャラクターだったよ…!

 

ニワトコの杖

あとは最終巻の伏線回収といえば、ニワトコの杖ね。

作者が最終巻のタイトルを「ハリー・ポッターとニワトコの杖」にしようか迷ったぐらいのキーアイテムだから、触れないワケにはいくまい。

 

かなり複雑だったけど、要約すると、ニワトコの杖の所有権は、

① 持ち主が殺されたり敗北すると、持ち主を殺した・持ち主に勝った人物に所有権が移る

② 「武装解除」された場合も、敗北したことになり所有権は移る

③ ただし、持ち主が「わざと」殺されたり負けた場合は、所有権は移らない

④ 所有権を持つ人物がニワトコの杖以外の杖を使用して負けた場合も、所有権は移動する

 

こうやってまとめると、なんって所有権がガバガバな杖なんだ。

特に②が厄介すぎる。「武装解除(エクスペリアームズ)」なんて、作中通して見る限り、かなり実力差がある格下相手にも普通に何回も喰らう呪文なのに、そんなんで所有権が移動して制御不能になる杖なんて使えないにも程がある。

RPGで言うなら、攻撃力は最高だけどデバフ呪文喰らった瞬間に制御不能に陥って本来の効果を発揮できなくなる武器、みたいな。

設定上は最強の伝説の武器だけどクセが強すぎて実質使えない武器ってあるあるだわー。結局市販の武器の方が強いとか、ロマサガあたりにリアルにありそうな設定。

 

そんな使えない武器に頼った時点でヴォルデモートの負けは見えてるよなー。

心底残念な闇の帝王だこと。

 

作中の流れを整理すると、スネイプとダンブルドアが最初企んでいたのは、ダンブルドアがスネイプにわざと殺されることで、ダンブルドアが所有権を維持したまま死に、ヴォルデモートの目にはスネイプが所有しているように錯覚させることだった。

ところが二人にとっても計算外だったのは、その作戦を実行する直前に、ドラコがダンブルドアに「武装解除(エクスペリアームズ)」を不意打ちで喰らわせたこと。

これによって、実はダンブルドアの死の直前、ニワトコの杖の所有権はダンブルドアからドラコに移動していた。

その後、マルフォイ邸でドラコがハリーの「武装解除(エクスペリアームズ)」を喰らったことで、所有権はハリーに移動した(しかもこの時、④の条件により、ドラコ自身はニワトコの杖を持っていないにもかかわらず、所有権を明け渡したことになった)。

そして最終決戦時、杖の真の所有者であるハリーに向けてニワトコの杖で魔法を放ったヴォルデモートは、反撃をもろに喰らい、絶命するに至った、と。

 

登場人物の死

メインキャラクターの数々の死も、やはり「死の秘宝」を読んでいて衝撃的でした。

いやー、最終巻だけあって、覚悟はしていたけど、それでもやっぱり死なないでほしかった人物が死にすぎだよー…。

 

まず開始100Pでいきなりムーディ先生とヘドウィグが死ぬという衝撃的展開。

ムーディ先生普通に好きだったし、ヘドウィグに至ってはまさか死ぬとは思わなかったから普通にめちゃめちゃショックだった…。

 

そして中盤のドビーの死ね…。

もう本当に、ハリーを守って死ぬのも格好良すぎるし、切なすぎるし、2巻初登場時にはあんなに腹が立つキャラクターだったのに、こんなに好きになるなんて…。

 

そして何よりショックだったのはフレッドの死だった。

もうホントにこの双子には一番死んでほしくなかったかもしんない。

マジで作中でいきなりさらっと死んだからもうホントにショックすぎて固まってページがめくれなくなったよ。

いやホントに今思い出しても胸がキュッとなる。

あぁー、生きててほしかったなぁー。

作者やってくれたな…!

マジで「ベラトリックス許すまじ」ってなったわ。

 

ブラック、ドビー、フレッドと、作中特に死んでほしくなかった人物たちをことごとく殺しやがった、読者最大の憎しみの対象であるベラトリックス=レストレンジを打ち負かすのが、ウィーズリー家の母であるモリー=ウィーズリーだって展開は最高にイカしてるわ!!!

モリーって作中では普通の主婦ってイメージで、決して戦って強いって印象じゃなかったのに、そのモリーが息子を殺されて激怒して、死喰い人最強の刺客であるベラトリックスを絶命させるってのがマジで意外だったし、最高でしたわ。

母は強し、ってやつやね。

 

総じて

10年前に「死の秘宝」をまだ読んでないと母に告げたときに、

「勿体ない!ハリー・ポッターは死の秘宝がぶっちぎりで一番面白いのに!!何ならハリー・ポッターシリーズは死の秘宝一冊だけ読んでもいいぐらいなのに!!!」

って熱弁された。

 

確かに、ホグワーツでの最終決戦は全シリーズ通しても一番熱かったし面白かったし、「ハリー・ポッター全7作の中で一番好きなのは?」って聞かれたら「死の秘宝」って答える気はするけど、だからと言って7巻がぶっちぎりで一番面白くて、それ一冊だけ読めば十分すぎるほど面白かったかって言われたら、決してそうではないような気はする。

 

最終決戦は確かに熱いけど、そこに至るまでの8割ぐらいは、ひたすら暗くて重くて長い、孤独で寒い3人旅(2人旅)が続くから、楽しげな雰囲気がある「賢者の石」や「秘密の部屋」、「炎のゴブレット」の方が好きだって人は普通にいると思うし、それでも納得できる。

 

何より、ハリー・ポッターはどれか一作だけが飛び抜けて面白いわけではなく、シリーズ全体を通して、ホグワーツや魔法世界という、楽しそうで、幻想的で、夢のようで、心底羨ましくなる、あの世界観を楽しむものだと思うから、どれか一作が、ってことではないな、と、今回全7作を通しで読んでみて思った。

全7作で一つの世界、一つの物語であり、最終巻「死の秘宝」は、その締め括りにすぎない。

 

そう考えると、やはり13年前、発売日に購入したあの日に、そのまま読んでしまうのが最も楽しめたんだろうな、って気はする。

やはり、期待している作品や、名作と呼ばれる作品は、引っ張ってもいいことはないな。

 

今、溜めている作品、読もうと思って読んでいない作品、好きすぎてもしくは期待しすぎて勿体なくて手をつけずにいる作品がある、という方、

つべこべ言わずに、今、今読んで(見て)しまうのが、絶対に一番楽しめますよ。

 

ありがとう、ハリー・ポッター

まぁでも何だかんだ言って最終巻「死の秘宝」も最高だったし、

全7作通して本当に心から楽しめました。

 

読んでいる間の、ホグワーツの生徒が心底羨ましくて、この歳になっても本気でホグワーツに入学したくなる、何なら読んでる間は夜寝てる間にホグワーツに入学する夢を見るぐらい、ワクワクするこの感情は、一生忘れることはないし、読み返すたびに思い出すんだろうなぁと思う。

 

人生においてハリー・ポッターという作品に出会えて心から良かったし、

ハリー・ポッターが出版されたこの時代に生まれることができて心から良かった。

人生でもTOP3に入る、心から大好きな書物です。

 

本当にありがとう、ハリー・ポッター。

これでお別れではなく、きっとこの先も生きている限り、何度も読み返して、魔法の世界に遊びに行きます。

 

これからもよろしく!

エクスペクト・パトローナム!