第194話「三雲修⑱」
第195話「雨取千佳⑨」
「ここまで読んできて良かった!」と思わせる、最高の一戦!!
いやもうホントに今月のワールドトリガーは最高に素晴らしかった!!!!!
読んでて思わず「うおおっ!」って大声出ちゃったもんね。
本当に、心底「ここまで読んできて良かった…!」って思わされました。
遊真の久々の「つまんないウソつくね」から、もうノンストップで鳥肌立ちっぱなし!
辻ちゃんが引き返して修狙いに切り替えた瞬間、
ヒュースの「ここだ」の一言、
千佳ちゃんがぶっ放した瞬間、
辻ちゃんの体が弾け飛んだ瞬間、
修ととりまるさんの「「勝った」」の一言が重なった瞬間、
そして修の弾が曲がった瞬間 …!
あの伝説の「「敵の位置を教えろ!!!」」の数話並に、目が離せない山場の連続でした…!
伏せに伏せ続け、最後の最後に切った切り札
今回、最後の最後に勝負を決めた、二つの攻撃。
・雨取の(鉛弾じゃない)通常狙撃
・三雲の(通常弾じゃない)追尾弾
この両方の切り札を、本当に最後の最後の最後の瞬間まで、伏せに伏せ切って、「やっぱり、ない。」って思わせてからの、ギリギリで遂にオープンして、そして勝つっていう流れ!
これが、ワールドトリガーらしくて、玉狛第二らしくて、そして三雲修らしくて、最高に良かったです。
「切り札は先に見せるな」っていう幽遊白書の名言があるけど、先に見せないどころか最後まで見せないっていうね。
194話で防がれた、修の通常弾(と思わせていた追尾弾)と、千佳の鉛弾、これは意図的に防がせたものなんでしょうか。それとも、普通に当てる気で撃ったものなのか。
修の方は確実に布石だったんでしょうけど、千佳ちゃんの方はわからないな。でも、いずれにしろ、ここで外していたからこそ、その後に勝負を決める最大の一撃を当てることができた。
194話のタイミングで撃っていても相手に大ダメージを与えられていたのに、それでも撃たなかったからこそ、相手に「やっぱり奥の手はない」って思わせることができたんですよね。
強力な切り札を持っているときは、いかにして相手に「切り札を持っていない」と思い込ませるか。そんなことが大事だと教えてくれる、見事な攻防でしたね。
焼肉店からはじまる、伏線だらけの最終戦
いつもは今月号の連載分だけを読んでレビューを書くんですが、今回あまりにも面白かったんで、記事を書く前にあらためて20巻からこの戦いを全て読み返しちゃいました。
そして驚いたんですが、この戦い、あの焼肉店の会話からすでに伏線だらけでした。
まず辻ちゃんが女の子が苦手っていうのが、最後に千佳ちゃんを斬りに行かずに修狙いに切り替えるということの伏線。女子が苦手な辻ちゃんが、千佳を斬れるとは思えませんから。
そして修と里見さんとの会話で出た、「弓場さんと二宮さん、1対1最強の2人が戦ったら、どっちが強いんですか?」「ふつうに戦えばやっぱ二宮さんだよね、入り組んだ地形で弓場さんの間合いに持っていけるなら、弓場さんのほうが有利な気もする」というやり取り。これも、二宮さんと弓場さんの1対1がはからずも実現する形となりました。(そして、遮蔽物がある状況で間合いに入られても、二宮さんの方が強いということを証明した)
誰にもバレずに決め切った、修の最後の一手の凄さとは!?
そして何より最大の伏線が、犬飼の「なんとなくトリオンの大きさの割に、通常弾の威力が低いような気がしたけど、弾に何か仕掛けがあるのかな?」という言葉。
これって裏を返せば、トリオンが大きいからヒュースの通常弾が実は変化弾だったということには気付けたけど、逆にトリオンが小さいからこそ修の通常弾が実は追尾弾だったということには気付けなかったということなんですよね…!
これは気付いたとき鳥肌が立ちました。
二宮さんが今号で言ってた「トリオンの少なさを逆手に…!」の意味、最初読んだときは何を指しているのかわからなかったんですけど、ズバリここのことだったんですね…。
おそらく修は犬飼のこの台詞を聞いたときに、この作戦を思いついていたんでしょうね。
恐ろしい男だ。
ていうかランク戦で最初からここまでメイン武器として使い続けてきた 通常弾(アステロイド)をここで外すって、絶対に誰にも想像できないでしょ!
修はもうトリオンかつかつだから新武器を追加できない。だったら メイン武器を外して新武器に通常武器のフリさせればいい って、孔明バリの大胆で意表を突いた戦術ですよ。
そしてこの作戦のすごいところが、味方の隠し玉さえも奥の手のための目くらましになっているというところ。
ヒュースの変化弾隠し玉が強烈すぎて、誰も修が同じ手を隠し持っているとは思い至らなかった。
ていうか、後半やたらとヒュースと修を比較した解説が多かったのも、このための伏線だったんですね。
修とヒュースじゃ実力もトリオン量も違いすぎるから、同じ手を使うことはできない。修じゃなくてヒュースが生き残っていればなぁ…。
でも、みんなにそう思わせること自体が、修の狙いだった。
むしろ、ヒュースとトリオン量が違いすぎるからこそ、誰にも気付かれることなくこの一撃を成功させることができた。
二宮さんだって、遊真に「つまんないウソつくね」と指摘されていた通り、決して修を侮っていたわけじゃない。にもかかわらず、修がヒュースと同じ手を隠し持っているということには気付けなかった。それは、二宮さんも、知らず知らずのうちに、修の罠に掛けられていたということなんでしょう。
みんなに弱いと思われていること、それ自体を逆手に取って強みにすることができる。それこそが、修の長所であり、魅力でもあるんですなぁ。
やっぱり「弱くても頑張る主人公」というのが、ワールドトリガーの主題でもあり最大の魅力の一つであると、今回再確認しました。
あと、追尾弾の性能について長々と解説していた前回のあの1話、あれも全て伏線だったっていうのが凄すぎでしょ!
いやもうホントに何から何まで葦原先生の掌の上ですわ。今回は本当に大満足です。感無量でした!
今後の展開について
さて、まずは次回の感想戦がとても楽しみです。
戦いそのものが終わっても感想戦がある。それが、このワールドトリガーの二重に面白いところ。
まるで良質なボードゲームの名勝負を見た後のような、そんな満足感があります。
そしてそして、ランク戦が終了したので、次回からはガロプラとの再戦や遠征編に移っていくんですかね!?
それはそれで楽しみなんだけど、これだけ面白かったランク戦が終わってしまうのも少々寂しい気がします。
自分は何の疑いもなく、遠征が終わったら次はA級ランク戦が始まると思っていたんですが、もしかすると、もう今後この漫画において「ランク戦」というものそのものがないんですかね!?
今後は最終回までボーダーと近界民との戦いが描かれ続け、内部の練習試合はここで終了…なのかもしれないですね。普通の漫画の展開を考えるとそれが当たり前ですし。
確かに千佳ちゃんが覚醒した今、玉狛第二は強くなりすぎたし、もうランク戦が描かれることはないかもしれない。
この漫画は 敵勢力との戦いより味方同士での練習試合の方が面白い という稀有な漫画なので、今後それが二度と見られないかもしれないというのはものすごく悲しいですが、葦原先生ならばきっとそれ以上に面白い何かを描いてくれるはず!
それを期待して、今後の新展開を楽しみにしていきましょう!
もちろん、葦原先生の体調が第一ですが。
今後も、続きを読めるだけで幸せなので、どんだけ休載しても、スローペースでもいいんで、お身体に気を付けて頑張ってください。
来月号も、楽しみにしております!!