にわかじこみの一般人。

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【ドラマ】だが、情熱はある

だが、情熱はある

 

 

本人すら凌駕する、最高すぎる役者の演技力

このドラマの何がいいって、まずはとにかく主演4人の演技力が素晴らしすぎること。

若林正恭役の髙橋海人、山里亮太役の森本慎太郎、春日俊彰役の戸塚純貴、山崎静代役の富田望生。

4人とも、魂を削り出すかのような熱演が素晴らしすぎる!

 

4人とも、顔も体型もまるで違うのに、もう本人にしか見えなくなってくる。

単に「本人に似ている」だけなら、じゃあ本人が演ればいいじゃんって話になるけど、そうではない。

若林さんや山里さんが若い頃に感じたであろう、挫折、苦悩、怒り、愚かさ。そういったものを己の内側に再現させ、演技として吐露し、ドラマを見ている視聴者に伝わるように「表現」することは、本人ですらも不可能なことだ。

彼ら4人はそれをやってのけている。

実在で存命の人物の半生を想像し、自分の中に憑依させ、それを表現することで見ている人の心を揺さぶり、あまつさえ本人にすら「確かに自分はこうだった」と涙を流させるなんて、そう簡単にできることじゃない。

あの壮絶な演技の裏には、想像を絶する努力があったことを想像すると、それだけで涙なしでは見られなくなる。

 

特に若林正恭役の髙橋海人くんの演技は素晴らしい!

台詞だけじゃなく、表情や仕草の一つ一つから、若林正恭という人間の感情が痛いほど伝わってくる。

もう見終えてから数ヶ月経つのに、彼の演技を頭の中に思い起こすだけで、視聴した直後のように、ドラマを見たときの感動や胸の痛みが心の中に湧き上がってくる。

 

しかもこの偉業を、King & Prince があれほど大変だった時期に成し遂げているのだ。

このドラマを見て、髙橋くんのファンにならない人はいるのだろうか?

自分は未だにバラエティ番組で髙橋くんを見ると嬉しくなってしまうし、歌番組でパフォーマンスしている姿を見ると心の中で「頑張れ!」と呟いてしまう。

 

あの敗者復活戦のオードリーの漫才の完全再現は、もはやドラマ史に残る伝説。

あれを演じたのが、6人での King & Prince の最後の日だったと聞いて、二度泣いた。 

 

彼がこのドラマにこれほど賭けてくれたことに感謝を禁じ得ない。

彼の演技を見るためだけでも、このドラマを見る価値はある。

 

ことわっておくが、サクセスストーリーではない

このドラマの良いところは、単純なサクセスストーリーではないところだ。

勿論、南海キャンディーズやオードリーの成功までの道のりはドラマチックだし、シンプルなサクセスストーリーにしても十分面白かったと思う。

だけどやっぱり売れない芸人が最後には成功して終わる物語は、見飽きているほどではないにしろ、他にも多くの作品がある。

成功してめでたしめでたし、で終わらないからこそ、このドラマの唯一無二の面白さと、空気と、価値が生まれているんだと思う。

 

山里さんは若林さんより一足早く、第7話で早々に売れてしまうが、そこから相方・静ちゃんへの嫉妬と迷走の日々が始まるし、第9話でようやく売れることができた若林さんも、以降「なんか違うな」という違和感にずっと悩まされることになる。

そんな2人が、もがき、悩み、試行錯誤しながらも、少しずつ大人になっていくのが、このドラマの後半の面白さだ。

前半の若くて真っ直ぐで、ただ情熱だけがあった青春ドラマとはまた違った味わいが、そこには存在する。

 

「ことわっておくが、友情物語ではないし、サクセスストーリーでもない、そして、ほとんどの人において、全く参考にはならない。だが、情熱はある」

毎話冒頭に流れてくる、このナレーションのおかげで、南海キャンディーズやオードリーが好きな、もっと言うと山里亮太や若林正恭が好きなひねくれ者たちは、安心してこのドラマを見ることができたんだと思う。

 

号泣必至の、第9話ラスト

第9話のラストシーンは何度見ても泣く。

 

敗者復活で勝ち上がったオードリー。会場中に渦巻く「オードリー!」の大声援の中、2人はタクシーで決勝の会場へと向かう。ふと、若林がタクシーの窓から観客席を見上げると、非常階段を一人の女性が駆け降りてくる。

非常階段のガラス扉越しに、彼女の口が動く。

「面白かった」と。

 

こうして文章で書き起こしていても、それだけで泣いてしまう。

こんなに美しい男女の愛の表現の仕方が他にあるだろうか?

 

昔「炎のチャレンジャー」でやっていた、10秒で泣けたら100万円というチャレンジ、今ならこのドラマのこのシーンを思い起こすだけで、容易に達成できる。

 

基本的にはこのドラマはサクセスストーリーでもないところと、ほぼ実話なところが良いところだけど、この部分だけは、サクセスストーリーとして、フィクションとして、最高のパートだと思う。

大袈裟でもドラマチックでもなく、不器用でシンプルなこの演出と表現が、このドラマらしくて最高に大好きです。

 

おわりに

今年1,2を争うほどの大傑作となったドラマ『だが、情熱はある』。

オードリーや南海キャンディーズのストーリーを知っていればより楽しめるけど、知らなくても十分に楽しめると思います。

 

この正月休み、暇だし何か見るかと思っている人で、この今年を代表するドラマをまだ見ていない人は、この機会にぜひ見てみてはいかがでしょうか?