ユージュアル・サスペクツ
友人に薦められて見ましたが、残念ながらあまり刺さりませんでした。
刑務所で再会した5人の犯罪者がチームを組み、仕事(犯罪)をしていくうちに、「カイザー・ソゼ」という正体不明の超大物黒幕マフィアから依頼(という名の命令)を受け、ほぼ失敗確実なミッションに向かわざるを得なくなる、という話です。
5人の運命は?そして、「カイザー・ソゼ」とは誰なのか?というのが見所の映画です。
いわゆる『どんでん返し系』の映画ですので、未視聴の方は読まないよう注意です。
以下、ネタバレにつき視聴済みの方のみお進みください。
1.オチが予想通りだった
なぜ刺さらなかったのか、理由はいくつかあります。
一つ目は、オチが最初に予想した通りだったこと。
こんだけ引っ張るなら、カイザー・ソゼはかなり意外な人物のはずだから、刑事の誰かかキントのどちらかだとは思ってました。
冒頭のアレがあったから、キートンだとは思わなかったので、クイヤンが「カイザー・ソゼはキートンだ」って言ったときは鳥肌が立ちました。
ただねぇ…。
この発言の時点で、似顔絵がまだ出てなかったから、もう一捻りある、つまりキートンはやっぱりカイザー・ソゼじゃなかったんだなってトコまで読めちゃったんですよねぇ…。
正直、個人的にはキートンがソゼってオチの方が好みでした。
冒頭のシーンもあるし、キートンが一番カイザー・ソゼに対して恐怖と焦りを見せていたので、それが演技だったら結構意外性あるなと思ったんですよ。
と思ったら最初に予想した通りキントがソゼだったんで「あぁ…」ってなっちゃいました。
2.伏線があまり張られていない
『どんでん返しもの』って、どんでん返しがあった瞬間、「あんときのあれってそういうことだったのか!?」って瞬時に思い返せるぐらいの、わかりやすい、けど見逃してしまう伏線をどれだけ仕込めるかが大事なんですよね。
けど、この映画にはそれがなかった。
読めないだけのオチなんてあまり意味はないんですよね。
オチがわかった瞬間、これまで見ていた景色が一変するから、この手の話は面白いわけで。
その「景色が一変する感覚」が、この映画にはなかった気がします。
一応、自分が見逃しているだけかと思い、見終わった後ネットで作中の伏線を調べてみましたが、これといって目ぼしいものは見つかりませんでした。
部屋の中のものから作り話をするんだったら、せめて要所要所で部屋の中のものをアップで写すぐらいのことはしてほしかったなー。
3.登場人物に感情移入できない
伏線漫画の名手、藤田和日郎も言ってますが、「伏線はバレてもいいと思いながら張っている。なぜなら、読めない伏線それ自体に意味はないから。伏線はあくまで物語を面白くするためのスパイスであって、大事なのは主人公に感情移入できるかどうか」なんですよね。
伏線、どんでん返し、読めないオチ、それらはあくまでスパイスであって、スパイスだけ食ってもしょっぱいか辛いかだけなんですよ。メインの具材がしっかり美味しくないとスパイスだけ良くても意味がない。
その点で言うと、この映画の5人の主人公は同情の余地のない犯罪者集団です。
それも、悪のカリスマというようなマイナス方向に振り切った魅力を持つ主人公、というわけでもない。
ただの小悪党。小物。
だから作中「別にこいつらがこの後どうなってもあんましどうでもいいな…」と思ってしまい、話に熱中できませんでした。
以上、正直個人的にはイマイチな映画でしたが、反面、何があれば『どんでん返し系』の映画が面白くなるかを教えてくれた気がします。
・伏線や意外なオチがなくても話に熱中するぐらい、感情移入できる主人公を用意すること。
・オチがわかった瞬間それまでの景色が一変するような伏線を用意すること。
ですね。
正直、この2つを満たせていれば、オチが読めても予想通りでも問題はない気がします。
本当に面白いどんでん返し系作品は、オチが読めても面白いんですよ。
以上、好きな人には申し訳ないレビューになってしまいましたが、率直な感想でした。