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【映画】すずめの戸締まり【感想】

すずめの戸締まり

 

 

シンプルにエンターテイメントとして面白い映画

やー、面白かった!

明確に何が面白かったかっていうと上手く説明できないし、特筆すべき目新しい部分があったかっていうと特にない映画なんだけど、それでもとにかく面白かった。

『君の名は。』もそうだったけど、新海誠監督って本当に「ただただエンターテイメントとしてシンプルに面白い作品」を作るのが上手くなったよなー。

昔はどっちかっていうとニッチな作品寄りの人だったのに。

 

旅の描写が非常に良い

この映画って、開始20分ぐらいで早々に宮崎から愛媛行きのフェリーに突発的に乗り込み、そこから映画の終了直前、なんならエンドロール中まで含めて、ずっと旅をしっぱなしなんだよね。

前半は宮崎から愛媛、神戸、東京とフェリーや車、新幹線を乗り継いで繋いで行き、後半は東京から岩手まで長い長い旅路を車でゆく。

 

この旅の描写が、全編通してめっちゃいいんだよね。

特に愛媛と神戸で出会う千果とルミさんの優しさがめっっっっちゃ良い!

こうやって知らなかった人に出会って、人の暖かみに触れることこそが、旅の醍醐味だよなぁって実感するわ。

 

スマホ一台あればどこへでもいける

この映画を見て改めて驚いたのは、今って子供でもスマホ一台あればどこまででも行けるんだなぁってところ。

女子高生が財布や着替えどころかカバンすら持っていない手ぶらな状態で、猫(と椅子)を追いかけて突発的にフェリーに乗り込んじゃう、っていうのは、映画の導入としてはよくある始まりだけど、今までの映画だったらここで「切符も財布もないのにどうしよう!」って一悶着あるところ。

ところが、この映画では鈴芽は特に困る様子もなくスマホ一台でスイスイと先へ進んでしまう。

現実で生きてると、そりゃまぁまぁ今では当たり前のことなんだけど、映画っていう昔との対比が浮き彫りになりやすいメディアでそれをやられると、改めてすごい時代になったもんだなぁと気付かされる。

翼のように僕たちをどこへでも運んでくれる。

身軽に好きなところへ自由に足を伸ばせる。

素敵な時代になったもんだ。

 

「揺さぶり」がすごい!

『君の名は。』もそうだったけど、この映画も、平和なコメディ部分と、シリアスなアクション部分とのギャップが凄い!

そのギャップを使って、見ている観客の心をぐわんぐわん揺さぶってくるのが、新海誠監督は本当に上手だと思う。

旅の平和な部分や楽しいコメディの部分をしっかり魅力的に描いているからこそ、廃墟でのミミズとの対決のハラハラドキドキ感が引き立つんだと思う。

 

特に中盤の関東大震災を止めるシーンはヤバかった。

あと数秒後に首都圏直下型大震災が起きて数百万人が死ぬという恐怖と絶望が、めちゃくちゃ生々しかったもん。

 

十明の歌声の力

本作でこの「揺さぶり」を生み出すのに重要な役割を担っているのが、主題歌を歌っている十明の歌声。

ミミズとの対決シーンのシリアスな場面では必ずといっていいほどこの十明の歌う『すずめ』が流れ出すのだが、この曲がもうすごいその場面への没入感を加速させる。

ハラハラドキドキ感も、恐怖も、絶望も、この曲のおかげで数倍になっているんじゃないか。

流石にRADWIMPSが主題歌を担当しておきながら自分自身で歌わなかっただけのことはある。

よく見つけてきたなー、この声の持ち主。

 

冒頭12分の急展開の決着から、タイトルの文字とともにこの曲が流れ出す始まり方は鳥肌モノでしたわ。

 

最後の展開は号泣しました

最後の常世での鈴芽と鈴芽のやりとりは号泣してしまったよ…。

映画館でマスクぐしょ濡れになってしまったわ…。

ズルイやん…。あんなん絶対泣くやん…。

 

でも、あの最後の場面であれだけ涙を流せるのも、それまでの揺さぶりが効いてるからなんだよね。

ホントすごいよ。『君の名は。』もそうだったけど、上げて落として上げて落として上げて落としてから、最後にきっちり豪速球の特大ストレート投げてくるんだもんなー。

 

今後も見たい、新海誠作品

以上、特筆すべきものがあるというより、ストーリー、音楽、演出の全てのレベルが高く、純粋なエンターテインメントとしてしっかり楽しめた作品でした。

 

『君の名は。』は偶発的に生まれた奇跡の傑作だと思っていたけど、『すずめの戸締まり』がしっかりと面白かったので、まだ見ていない『天気の子』も見ようと思ったし、今後もこういう作風が続くのであれば、新海誠作品は映画館で見続けたいなーと思いました。

 

クリエイターって同じものを作り続けたくない人種だから、いつまで続くかわからないけどね。

むしろ新海誠なんて超クリエイター寄りの人だと思ってたから、これだけ大衆向けというかスタンダードに一般受けするものを3作も連続で作り続けているのが驚き。

 

まぁ、どちらにしろ、感覚凡人の一般大衆である自分にとってはありがたい話です。

今後の新海誠作品も楽しみだ!