すごいよ!! マサルさん
中学2年生のときのことだった。
ある日、いつものように学校に登校すると、友達がみんな意味不明な言葉を話していた。
「めそ」とか「ボスケテ」とか「どすこい喫茶ジュテーム」とか「ガーリバス」とか。
で、その意味不明な言葉を発するたびに、めちゃくちゃ笑っている。
流行にすさまじく疎かった俺は、とにかく意味不明な言葉を発するのが流行っているのかと思い、ノートの裏に自分なりに思う「意味不明な言葉」を色々と書き殴ってみた。
白い目で見られた。
ほどなくして、深夜番組『ワンダフル』のワンコーナーとして放送されているアニメ『すごいよ!マサルさん』がめちゃくちゃ面白くて、みんなその話をしている、ということを知った。
中学2年生当時の俺は、まだ「シュールギャグ」というものに触れたことはなく、ギャグ漫画と言えば「なんでそれが面白いのか」という理由が説明できるような「ロジカルな笑い」しか読んだことがなかった。
だから、みんなが発している意味不明な言葉がすごい不気味で怖かった。やってるのも深夜。深夜なんて、当時の自分にとってはトゥナイト2の時間でしかない。トゥナイト2と並ぶような時間にやっているアニメなんて、自分の住んでいる世界とはかけ離れた異質なものな気がして、触れるのが怖かった。
でも、あんまりにも流行っていて、見ないとみんなについていけなかったから、仕方なくTSUTAYAに行ってDVDを借りた。いや、当時はまだVHSだったかな?とにかくビデオを借りて見た。
ドキドキしながらデッキにビデオを挿入する俺。
そして、映し出される映像…。
意味が全く分からなかった
意味が全く分からないのに
めちゃくちゃ面白かった
第一話冒頭から、腹を抱えて床に転がって大爆笑していた。
気が付いたら、10分間笑いっぱなしだった。
世の中に、こんなに意味がわからなくて、こんなに面白いものがあるのか!?
当時の自分にはめちゃくちゃ衝撃的だった。
ほどなくして、原作も全部読んだ。
後から知ったことだが、連載当時のマサルさんの売り上げはすさまじく、当時のジャンプの連載陣の中でアンケート1位の常連だったらしい。
どんなに面白くったって、バトルとスポーツが主流の週刊少年ジャンプの中で、ギャグマンガがアンケート1位を取り続けることなんて、普通はない。これはものすごい快挙だ。
マサルさんが連載していたのは、ドラゴンボールが終わってからワンピースがはじまるまでの、俗にいうジャンプの暗黒時代と呼ばれる期間だったからってのはあるけど、逆にいうと、ジャンプの暗黒時代を支えていた漫画、と見ることもできる。
この人気を見るに、マサルさんのシュールギャグという笑いが斬新で衝撃的だった中学生は、俺だけじゃないらしい。
ジャンプの暗黒期に流星のごとく現れ、日本中の中学生に新しい価値観と衝撃を与え、たった7巻という短さで流星のごとく去っていった、伝説の漫画。
それが、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』
マサルさんは全巻通して本当に笑った。
「お前のパンチを喰らって倒れなかったのは、俺が初めてだぜ」
「なんであんなとこから血が!?」
「オクレ兄さん!!」
「ボナンザーー!!」
「とし子、宇宙へ!」
「俺の丹精込めて育てたキテ・レツ・ヒャッカをーーッ!!」
「あん!?あん、あん…ジャイあん!」
「お題!サバを味噌で煮込んだもの!サバの味噌煮!!」
「ガンダムに似ていらっしゃる…」
今でも
「チョ☆チョニッシーナ☆マッソコブレッシュ☆エスボ☆グリバンバー☆ベーコンさん」
は空で言える。
略してポエムね。
セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
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