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【アニメ】『鬼滅の刃』大ヒットの秘訣を、自分なりに考察してみた 〜高尚と低俗のハイブリット〜

鬼滅の刃

 

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前回の記事で宣言した通り、アニメ『鬼滅の刃』を全話完走しましたよ!

で、全話見た上で、『鬼滅の刃』がここまでヒットした理由を考えてみたいと思います。

 

S級ヒットが飛び出す条件とは?

『鬼滅の刃』の魅力的な要素は、数え上げたらキリがない。

・王道少年漫画である

・主人公が魅力的

・仲間キャラクターも魅力的

・アニメのクオリティが高い

・戦闘シーンが迫力満点でカッコいい

・独自の台詞回しがシュールで面白い

・大正という時代設定が新しい

・兄妹の絆が素敵

・敵の悲しい過去もきちんと描かれているのが良い

でも、どれも確かにヒットの要因ではあるんだけど、『最大の秘訣』という意味では本質を突いていないように思う。

 

A級ヒットを出すのはこういった細かい要素の積み重ねでも可能だけど、S級ヒットを出す方法は、以下の2つのどちらかしかない。

・一つの長所を極限まで極めるか、全体的なクオリティを極限まで高める

・斬新な着想で、全く新しい魅力を生み出す(※実際に新しいかどうかではなく、見ている人が"新しい"と感じるかどうかが重要)

「ワンピース」は前者、「進撃の巨人」は後者。「君の名は」は前者、「シンゴジラ」は後者。

 

で、『鬼滅の刃』はどちらか?

まぁ、皆さんの予想通り、後者だ。

鬼滅の刃にハマった人は、大部分の人が「新しい!」と思いながら見てたんじゃないかな?少なくとも「今まで見てきたものの上位互換だ」と感じた人は、あまりいないはず。

 

 

対極のジャンル同士の融合が生み出す、全く新しい魅力

鬼滅の刃の新しさは、例えるなら、

「スタジオジブリが、週刊少年ジャンプのバトル漫画を、本気でアニメ映画化したら?」

という感覚に近い気がする。

もしこんなことが本気で行われたら、かなり斬新でかつ面白いものができることは想像に難くない。

 

スタジオジブリの世界観っていうのは、私たちが幼い頃からめちゃくちゃ慣れ親しんだものだ。

少年ジャンプ漫画の王道バトル漫画ってのも、そこら中に転がっていて、全くありふれている。

でも、対極に位置するこの2つを掛け合わせたものは、誰も見たことがない。

 

今の時代、新しいものを生み出すってのは、無から有を生み出しているわけじゃなく、既にあるものの組み合わせ で行われることがほとんどだ。

一つ一つは、慣れ親しんだものや、ありふれたものなんだけど、それらを組み合わせることは誰も思いつかなかった。だから、見る人に、"新しい" と感じさせることができる。

 

『鬼滅の刃』の大ヒットの最大の秘訣も、ここにあるんじゃないかと自分は思う。

 

「大正時代の妖奇譚」という、京極夏彦のような、森見登美彦のような、スタジオジブリのような、レトロな文学作品のような世界観。

「王道の少年バトル漫画」という、ドラゴンボールや、ダイの大冒険や、ジョジョの奇妙な冒険で完成されたストーリー。

 

対極に位置する上に、ターゲット層のまるで違うこの2つを、上手く融合させたこと。

それこそが、鬼滅の刃をここまでの大大大ヒット作に押し上げたんじゃないだろうか。

 

これ、何が凄いかって、大正浪漫的な世界観が好きで、そういう文学作品ばかり触れている人は、王道少年バトル漫画をあまり読んだことがないから、その要素をものすごく新しくて面白いものだと感じる んだよね。

逆に 普段ジャンプばっかり、少年漫画ばっかり読んでる人にとっては、大正浪漫的な世界観や独特の語り口はものすごく新しく斬新に映る。

 

AもBも昔からあるもので、それぞれにファンもついているんだけど、AとBを融合させると、AのファンにとってはBの要素は斬新に映るし、BのファンにはAの要素が斬新に移る。それぞれのファンにとっては、それはごくごく当たり前の要素のはずなのに。

 

実際、『鬼滅の刃』は「マンガ好き」にも「若い女性」にも非常に人気を博した。

特に「若い女性」の側に話を聞くと、僕らジャンプ好きにとっては当たり前の展開に対して「新しかった」「意外だった」「先が読めなかった」というような声がけっこう多かったように思う。

そういう層にとっては、少年漫画の王道的要素を、自分たちの好みのテイストに落とし込んでくれたのが良かったんだろうなと思う。

 

懐石料理やフランス料理ばかり食べていてジャンクフードを食べたことがない人と、サイゼリアやマクドナルドばかり行っていて高級レストランに足を踏み入れたことがない人の両方に向けて、高級料理とB級グルメのいいとこ取りした料理を生み出して振舞ったら、高級料理好きには自分の好きな懐石料理の中に全く味わったことのないジャンクフードの斬新な魅力が顔を出して凄い新しいと感じて、ジャンクフード好きには自分の慣れ親しんだ食べ物の味がするけどすごい高級な味もして美味しい、みたいな。

お互いに 自分が好きなジャンルなのに、新しい という、いいとこ取りな感覚を味わえる。

 

 

鬼滅の刃は「高尚と低俗のハイブリット」

大正時代の話で、文学的な世界観というと、どことなく 高尚なイメージ になる。この 高尚さ って、とっつきにくさでもあるんだけど、逆にいうと 安定感 っていう強みもあるんだよね。

実際、鬼滅の刃の、完成された世界観と、詩のような美しい語り口は、「この作品はこの後もずっと安定して面白いんだろうな」と常に思わせてくれる。これは原作の漫画を読んでいてもずっと感じていたことだ。

 

対して、ジャンプの王道少年バトル漫画というと、子供が駄菓子屋で読むような、中高生が部屋で寝転がってポテチを食べながら読むような、高尚とは対極のイメージがある。言葉は悪いが、高尚の反対というと「低俗」ということになるだろうか。決して悪い意味ではなく、庶民に親しまれた大衆文化というか。

で、この "低俗" なジャンプ漫画の欠点は、とにかく 安定感がない こと。実際ジャンプの漫画って ライブ感 を最重要視して描いてるから、来週の展開を全く決めずに今週の1話を描き切って掲載してることなんてザラ。それって裏を返すと、いつつまんなくなるかわかんない んだよね。波が激しい。実際、ワンピースやナルトを読んでるときは、「こっからはつまんなくなっちゃうんじゃないか…?」って別な意味でハラハラしながら読んでたし。

 

でも、『鬼滅の刃』は、ジャンプ漫画特有のライブ感や王道的展開の面白さがありながら、安定して面白いという安心感を与えてくれるんだよね。"高尚""低俗" の良いとこ取りをしているイメージ。

 

これはアニメに対する姿勢にも顕著に現れていて、他のジャンプ連載漫画のアニメって、クオリティよりライブ感重視で作られているけど、鬼滅の刃のアニメは極限までクオリティを高めている。これも、鬼滅の刃の"高尚さ"というか 安定感 という魅力を失わないための一つの手法だと思う。

 

 

アニメ化して大ヒットした理由は、"色" にあり?

まぁでも、この「レトロな大正浪漫」と「王道少年バトル」の融合、「高尚」と「低俗」の融合って要素は、原作時からあったワケで、それがなぜアニメで大化けしたかというと、原作ではまだ薄かったこれらのギャップが、アニメでハッキリと浮き彫りになったからなんだよね。

 

世界観は色がつくことで、語り口は声がつくことで、「大正の妖奇譚」としての魅力はより大きくハッキリと形を成し、

動きと音楽がつくことで、「王道バトル漫画」としての戦闘シーンの魅力は最大化され、「少年漫画」としてのコミカルなシーンはより親しみやすくなった。

 

色と声と動きと音楽によって、原作時にはまだまだ隠れていた鬼滅の刃の最大のヒット要素が、深く大きく浮き彫りになったんじゃないかと思う。

 

特にアニメの 色彩感覚 はスゴい!

あの、派手なんだけど、昔の日本の古風な空気感を崩さない独特な色彩感は、この大ヒットに相当な割合で一役買っていると思う。大正時代の話であること、妖(あやかし)の話であることっていう鬼滅の刃の2つの長所を、この "色彩" で極限まで活かしていると思う。

原作は "語り口" が心地よくて続きが続きがどんどん読みたくなる感じだったけど、アニメは "色彩" が心地よくて続きが続きがどんどん見たくなるっていう感じ。

 

 

おわりに

今回は「鬼滅の刃はなぜ大ヒットしたのか?」という 考察 に主眼を置いて話したので、アニメ『鬼滅の刃』の純粋な 感想 はまた後日に。

 

とりあえず、19話クライマックスは噂に違わず凄かったです!

19話のラスト3分のためだけに、全26話の全てがあると言っても過言ではないほどに。

 

しかしこのクオリティで映画、2期とやるなら、鬼滅の刃人気はしばらく安泰でしょう。なんせ、原作はこっからどんどん面白くなるからね!

鬼滅の刃 19 (ジャンプコミックス)

鬼滅の刃 19 (ジャンプコミックス)

 

原作未読のアニメ勢はせいぜい楽しみにしておくがいい!フハハハハ!!鬼滅の刃はこっからが本番だぜい!!!

 

自分も映画公開されたらぜひとも見に行きます。

それでは!