飛行機雲ができる理由
日向坂46の7thシングル『僕なんか』に収録されている楽曲、
『飛行機雲ができる理由』
そのミュージックビデオがとにかく素晴らしすぎる。
既に8thシングルの発売時期となり、完全に機を逃してしまったが、
それでもどうしてもこのMVの良さについて語りたいので、今日はそれについて書いていこうと思う。
青春の楽しさと切なさが両方表現されている
このMVは、前半は女子寮「陽だまり寮」で仲良く過ごす22人の女の子たちの日常生活の楽しそうな様子を、後半は取り壊しが決まった「陽だまり寮」のお別れパーティーの準備と本番の様子を描いた、4:47のミュージックビデオになっている。
この陽だまり寮で仲良く過ごすメンバーが、とにかく全員心の底から楽しそうでたまらない!
前半部分で、「青春」という時間が持つ、無敵感と、夢のような楽しい空間を描写しながら、一方で、この何もかも完璧な時間が永遠に続くわけではないという切なさも感じさせる。
その予感の通り、2番の冒頭で「陽だまり寮 取り壊しのお知らせ」という掲示物が貼り出される。
視聴者は一瞬「あぁ…」と切なくなってしまうが、次のシーンからは、そんなもの意に介さずに、前半と同じような満点の笑顔で、全力で楽しそうにお別れパーティーの準備をするメンバーたちが映し出される。
このMVに限らず、青春を表現した作品って、その渦中にいる主人公が楽しそうであればあるほど、この完璧な時間は永遠には続かないんだ、この時間を閉じ込めてしまいたいけれど、それはできないんだ、っていう切なさが強くなっていく。
主人公たちは、この時間にいずれ終わりが来るってわかっていないのか、それともわかっているからこそ今を全力で楽しもうとしているのか、どちらかわからないけど、そんな終わりなんて来ないかのような顔で、まるで自分達には怖いものなど何もないかのような無敵感でその空間を楽しんでいるけれど、それがまた切なさに拍車をかけていく。
でも、既に青春を終えた大人たちのそんな勝手な切なさなんて、当の本人たちからしたら無用な心配なのかもしれない。
取り壊しが決まろうが、お別れパーティーをやろうが、変わらずに心の底から楽しそうにしているメンバーを見ていると、そんなことを思う。
この曲は、このシングルを最後に卒業を決めたメンバー「渡邉 美穂」の卒業ソングでもある。
実際の撮影現場では、スタッフたちに「あの子本当に卒業するの?」と言われるほど、渡邉美穂を中心にずっと笑い声の絶えない楽しそうな現場だったんだそうだ。
その様子が、MVのストーリーにもそのまま出ている。
別れがあるから涙するんじゃなく、そんなこと関係なく今を全力で楽しんでいる。
そんな青春の少女たちの無敵の輝きが、このMVでは余すところなく表現されている。
ラストカット、記念写真を撮るシーンなのだが、その写真の静止画で終わりではなく、その撮影後にわちゃわちゃと喋っているシーンをラストに持ってきているのがとてもいい。
写真の静止画で終わっていたら「青春は写真の中にだけ残る過去のもの」というイメージになっていただろう。
そんな美化なんかじゃない。たとえ永遠には続かなくても、この楽しい時間はまだまだ続いていくんだという、別れや終わりを意に介さない、ただ今を楽しむメンバーの様子がラストカットなのが、このMVを象徴していて最高に好きだ。
日向坂46の良さが全て詰まっている
日向坂46関係なく、一つの青春表現作品としても素晴らしいが、
やはりこのMVは『日向坂46』を表現したものとしても最高の作品になっている。
なんせこのMVに出ているメンバーは、ほとんど演技をしていないのだ。
ラジオやSNSなどでこのMVの撮影についてメンバーが口を揃えて言っていたのが
「いつも通り楽しそうにしてくださいって言われて、普通に過ごしていたら、気付いたら終わっていた」
というもの。
これだけの楽しそうな理想的な青春の描写が、ストーリーが、演技ではなく、彼女たちの日常であり、素の表情なのだ。
こんなに心の底から楽しそうな表情と、青春の無敵感と、お互いのことが大好きでたまらないという空気感が、彼女たちにとっての素の日常なんである。
素敵すぎる。
幸せそうな表情、楽しそうな雰囲気、純粋さ、無邪気さ、明るさ、温かさ、仲の良さ、絆の強さ。
日向坂46の良さが、この短い4分47秒の中に、全部詰まっている。
日向坂46を知らない人に「日向坂46の良さって何なの?」と言われたときに、黙ってこの4分47秒の映像を見せたいぐらい、日向坂46そのものを完璧に表現した、素晴らしい映像だと思う。
飛行機雲は永遠に
この曲は推しの卒業ソングだし、楽曲自体が日向坂46で一番好きな曲だけれども、それを抜きにしても、このMVは自分にとって、日向坂46の一番好きなところが全部映像化されている、最高傑作のMVだ。
ちなみに『陽だまり』は渡邉美穂の写真集のタイトル名でもある。そんな風にスタッフからの愛を感じるところも、このMVの好きなところの一つ。
最後の最後、記念写真の右側に不自然に空いた3人分の空間。まるでこの場にいない誰か3人も一緒に写っているかのような、そんな表現まで含めて全部全部大好きです。
何度見ても泣きたくなります。
青春は永遠には続かないけれど、いつかくる別れを憂うよりも、続く限り今を全力で楽しんだ方がいい。
日向坂46の楽しさが、この先もずっと続きますように。