『幻想水滸伝Ⅱ』
日本のゲーム史上最高に泣けるストーリー
このゲームの何がスゴいって、その 泣けるストーリー。
「ストーリーが良いゲーム」と一口に言っても、設定が練り込まれている、世界観が素晴らしい、どんでん返しがとにかく驚愕する、などなど、様々あると思うけど、
とにかく 泣ける ストーリーのゲームということであれば、
この作品はおそらく、日本のRPGの歴史上、No.1 と言って過言じゃないと思う。
戦禍に巻き込まれていく3人の少年少女の悲しい運命を、
これほどドラマチックに描いたRPGが他にあるだろうか!?
まず、ゲーム開始からものの10分で、主人公2人が巻き込まれる凄まじくエゲツない悲劇を描いた上で、物悲しいピアノ曲とセピア色の映像が流れるOPが始まるんだけど、
これがものすごくいい。
ここで流れる曲は以前の記事で自分の好きなゲーム曲第2位にランクインしてると書いたけど、とにかく曲も映像も良すぎて、これからトンでもない神ゲーが始まるということを否応無く確信させてくれるんだけど、
その後のストーリーも、ここで抱いた期待を全く裏切らずに素晴らしい。
特に、
序盤の夕焼けの中でジョウイを待つシーンと、
中盤のネタバレ禁止の壮絶な最期と、
終盤のネタバレ禁止が死ぬシーンね。
この3つは、何度プレイして何回見ても泣く。RPGの歴史に永遠に残る名シーンだよ。
制作者の魂の叫びが聞こえてくるかのような演出
ストーリー(プロットや台詞回し)そのものももちろんいいんだけど、
このゲームはそのストーリーを盛り上げるための 演出 が半端じゃない。
ゲーム全編を通して隅から隅まであらゆるところから、制作者たちの「絶対に素晴らしいゲームを作ってやるんだ!」という 魂の叫び が聞こえてくるようなゲームだ。
ドット絵の動き、
曲の流れ出すタイミング、
台詞の一つ一つ、
暗転やカメラアングルの動き、
キャラクターの表情絵の変化、
どれをとっても素晴らしい。
特にドット絵の細かい動きに対するこだわりは尋常じゃない。
ドット絵を作るのはすさまじく大変なはずなのに、たった1シーン、その場面のその動作にしか使わない動きのいかに多いことか。1つ1つのイベントに対する力の入れ込み方がとにかく普通じゃない。
正直、RPGのグラフィックは、この よく動くドット絵 が史上最高峰だと思う。『幻想水滸伝Ⅱ』と『ファイナルファンタジータクティクス』の、SFC時代みたいに画一的な動きしかしないわけじゃないんだけど、綺麗な3Dじゃないドット絵のゲーム。それが一番、ストレスなくサクサクプレイできるし、見てて楽しい。この時代にどこかのメーカーがまた作ってくれないかなぁ。労力に対して売上が見合わないから、どこもやらないか。
とにかく『幻想水滸伝Ⅱ』の、各イベントシーンでのドット絵の細やかな動きは必見。
最高の悪役「ルカ=ブライト」
このゲームを語る上で絶対に外せないのが、
RPGの、いや、フィックション作品の歴史に残る 名悪役、
狂乱の皇子 ルカ=ブライト だ。
このルカ=ブライト、敵国の皇子で主人公たちの不倶戴天の敵なのだが、
このキャラクターがもう ものすごい強烈。
決して「カッコいい悪役」ではない。それどころか、めちゃくちゃ 残虐無道 で 極悪非道 で絶対に許せない悪なんだけど、とにかく 強くて 不敵で 自分の進む道に迷いがない 、強烈な魅力のあるキャラクターでもある。
自分が主人公と同じ立場になって目の前で対峙したら絶対に憎しみしか沸かないんだけど、物語を盛り立てるための登場人物として客観的に見たときに、これほど魅力のあるキャラクターはいない よ!!
幻想水滸伝シリーズは108人ものキャラクターが仲間になることが売りのゲームだから、その登場キャラクターは1〜5まで合わせると仲間キャラクターだけで総勢500人以上に及ぶんだけど、その500人全員を抑えてルカ=ブライトがぶっちぎりで俺の幻想水滸伝シリーズ好きなキャラランキング1位です。
そして中盤、そのルカ=ブライトが迎える壮絶な最期はマジで徹頭徹尾 名シーン!!
これだけの強烈な悪役がなんとラスボスじゃない!それもこのゲームの凄いところ!!単純な勧善懲悪じゃない!!!巨悪が倒されても全然平和にならないどころか更に混沌を極めていく戦争の渦!!!!戦争って一体何?善と悪って何??考えさせられる深すぎるストーリー!!!!!
RPGの歴史上最高の悪役を作り出しておいて、それを中盤で退場させてしまうところからもこのゲームの制作陣のすさまじい覚悟と魂の叫びが聞こえてくるんだけど、とにかくこのルカ=ブライトの退場シーンがまためちゃくちゃに素晴らしい!!!
ルカ=ブライトとの戦闘、
流れる音楽、
ドット絵の動き、
場面と演出、
そして彼が最期に放つ 壮絶な台詞 、
もうね、すごすぎる。
今こうして思い出してみても鳥肌が立つぐらい。
特に彼の死に際の台詞はRPGに登場するインパクトの強い台詞BEST3に入るんじゃないか。
「あの世で俺にわび続けろオルステッドーーーーッ!!!」並に忘れられない。
この台詞の強烈さを味わうためだけにこのゲームをプレイしてもいいかもしんない。
さいごに
いかがだっただろうか。
プレイしたことのない人は是非一度プレイしてみることをオススメする。
3Dじゃなくて2DのRPGな上、難易度も低いし、インターフェースも洗練されているから、めちゃくちゃサクサク進められるし。
ただ、プレイする前に、できれば『幻想水滸伝』をプレイすることをオススメする。
2の前に1をやっといた方がいいってことね。
幻想水滸伝のファンは「1と2は神ゲーだ」って言う人が多いんだけど、俺は正直1はそんなに大したゲームだとは思ってないんだよね。まぁ、悪くないゲームだし、後のシリーズに引き継がれるような特徴的なシステムの数々を1作目からあらかた盛り込んでるのはすごいと思うけど、中身自体はどこにでもよくあるような普通のゲームかなと思ってる。
ただ、2は1のそのまま続きになってるし、1の登場人物も2にめちゃくちゃ出てくるから、1をやっといた方が2はグッと楽しめる。なんつっても、1の主人公が2にすごいいい形で登場するしね。隠しキャラだけど。
1はPSのRPGだっつーのに15時間くらいでクリアできちゃうめちゃくちゃコンパクトなゲームだから、2のプロローグだと思ってやっといて損はないよ。難易度もすさまじく低いしね。少なくとも俺はこの幻想水滸伝1より簡単なRPGはやったことがないかも。
とにかく『幻想水滸伝1』をプロローグだと思ってサクッとクリアーして、『幻想水滸伝2』をプレイする。これでいきましょう。
このGWは、レトロゲームのプレイで決まり!