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【漫画】鋼の錬金術師【ネタバレ感想】

鋼の錬金術師

 

 

完結まであと一歩というところで、13年 も止めてしまっていた漫画、

鋼の錬金術師を、この度、13年越しに読破しました。

 

前回読んだ記憶のあるところまでは一気に読み進めようと思って読んでいったら、

ようやく見た覚えのないページにたどり着いたときには、

最終巻まで あと3,4巻 になってしまっていたので、

どうやら前回は本当に最終回まであとちょっとのところで止めてしまっていたんだなー。

(多分、当時はそこまでしか発売されていなかった)

つくづく、さっさと読み切ってしまえば良かった。

 

最終回まで完璧な漫画!

『鋼の錬金術師』が完結まであと数巻と知りながら、十年以上も続きを読まなかった理由の一つとして、この手のダークファンタジーは風呂敷を広げるところまでがピークで、ラストは上手く畳めればまぁ万々歳というのが通例なので、正直、ハガレンは自分が読んだところまでで美味しいところは味わい尽くしているだろうから、最終回は読めるときに読めばいいや、と思っていた節はあった。

 

ところが、今回最終回まで読破して驚いた。

この漫画、

最終回までめちゃくちゃ面白いやん!!

 

緻密な世界設定と、壮大な伏線回収がウリの漫画でありながら、最終巻までこれだけ熱くて面白いのはホント凄い!

中盤がピークだろうとナメてかかってホントにすいませんでした!

最後の最後までずっとピークでした!

 

特にラース・プライド・グリードら、ホムンクルスの最期と、

アルとエド、2人の兄弟のそれぞれの最後の錬成は本当に素晴らしかった!

 

アルの右腕が錬成されたときの、カタルシスとエドが死んでしまった悲しみが同時に押し寄せてくる衝撃はマジでハンパなかったし、アルが最後の最後に弟を取り戻すために提示した答えも納得度が高くて素晴らしかった。

 

1巻の名台詞「立てよド三流、格の違いってやつを見せてやる!」をここで持ってくるのもいいよね!!

 

悪役「ホムンクルス」の魅力

4年前に書いたこの漫画についての記事で、自分は「この漫画の魅力は、悪役である『ホムンクルス』である」と書いた。

正直当時は内容をうろ覚えで書いていたので「ホントにそうだったっけ?」と自分のことながら半信半疑だったが、

今回あらためて読み返して確信した。

 

やはりこの漫画の魅力は、

悪役『ホムンクルス』にあると。

 

エンヴィー、ラース、プライド、グリードの4人のホムンクルスの立ち回りと、そして最期のシーンがとにかく素晴らしい!

 

特にエンヴィーの最期は泣いてしまった…。

この漫画で最も心動かされて、唯一泣いてしまったのがこのシーン。

 

エンヴィーって、作中で最も(表面的には)邪悪な存在で、憎むべき敵でしかないんだよね。

悪役は悪役でも、ラースみたいな「気持ちのいい悪役」でもなく、グリードみたいに最終的には味方になるでもなく、ただただ読者から憎まれるだけの嫌な奴。

だけどその嫌な奴の根源的な願望が、実は「人間が羨ましかった」という想いで、最期の最期はその想いを吐露しながら惨めに消えていくというのが、何とも言えず切なくて、胸が締め付けられて泣いてしまった。

 

人間に憧れていたのはエンヴィーだけではなくて、ラースも、プライドも、グリードもそうなんだよね。

人ならざるものであり、人類の不倶戴天の敵である彼らが、皮肉にも死に際に人間の素晴らしさを頭によぎらせたり口にしながら死んでいくというのが、この漫画の人間の描き方の上手さだよなぁと唸らされた。

 

人間と、人間ではない者の戦いを通じて、人間の素晴らしさを描写していくというのは、漫画でよくあるテーマではあるけれども、ハガレンはその中であえて「人間ではない者」の目を通して"人間の素晴らしさ"を描いているというのが、ハガレンにしかない独特の魅力を生み出しているんじゃないかと思う。

 

誰が何と言おうと自分はホムンクルスの7人が大好きです。

傲慢・憤怒・強欲・嫉妬・色欲・暴食・怠惰。

物語を彩ってくれた彼らに乾杯です。

 

登場人物全員が「最善手」を取り続ける漫画

これだけ衝撃の秘密や展開や伏線がウリの漫画でありながら、

テンポがめちゃくちゃ速く進むのもいいね。

 

無駄に引っ張らない。

 

どんな衝撃の秘密でも、漫画の展開の中でスピーディーにめちゃくちゃあっさり暴露するんだよね。いや、そこもっと引っ張ってもよかったんちゃう!?って何度思わずツッコんだか。

読者がうすうす勘づくか勘づかないかの時点で、もうバラしちゃうし、登場人物も理解しちゃう。

 

そのおかげで、登場人物がみんなめちゃくちゃ賢く見えるんだよね。

"衝撃の秘密" を、読者が完全に勘付くまで引っ張りに引っ張って、満を辞して明らかにして、登場人物に「なんだってー!?」って言わせる手法は、盛り上がるけど、「登場人物が読者よりバカに見える」という欠点もある。

 

対してハガレンは、読者が勘付いた事実には、登場人物も漏れなく勘付いていて、何ならその上で既に次の手を打っていたりするから、登場人物がめちゃくちゃ賢く見える。結果、キャラクターが魅力的になる。

 

ハガレンのキャラクターの、スマートな暗号のやりとりや、戦闘や交渉での即断即決の駆け引きの連続とかも、ハガレンの大きな魅力の一つだよね。

マスタング大佐のチームメンバーの連携の速さや察しの鋭さは、毎回読むのが楽しみの一つでした。

 

人間側のキャラクターで一番好きだったのは、アームストロング少将(姉の方)。

あの胆力、覚悟、部下への信頼、戦闘の強さ、精神力の強さ、交渉力、全てがカッコよかったです。

彼女を始め、読者目線で「全幅の信頼がおけてその判断に絶対の信頼が寄せられるキャラクター」が数多くいたおかげで、読んでて気持ちがよかったし、それでもままならないことで状況の困難さや悪役の強大さがより際立った。

 

あとスカーね。

憎しみに駆られた復讐鬼が、敵対民族との交流を通じて少しずつ成長していく物語。

こういうキャラって最後は死んで罪を償わさせられるのがお約束だけど、最終回でも死なずに「自分のできることをし続けろ」と言われていたのもいいね。俺はつくづく漫画の罪人は死んであの世に逃げるのではなく、生きて償い続けるべきだと思っている派なので。

スカーがマスタング大佐を止めるのもエンヴィー戦か。つくづくエンヴィー戦は名場面しかないな。

 

総じて

総じて、

世界設定と伏線回収のダークファンタジーとしても、

熱く血沸き魂煮えたぎるバトル少年漫画としても、

人間の素晴らしさに感動するメッセージ性の強い漫画としても、

どの方面から見ても満点の素晴らしい漫画でした!

 

これだけ残酷でエグい漫画だったのに、メインキャラクターがほとんど死ななかったのもいいね。

おおむねほぼハッピーエンドだったのも、読後感が良い理由の一つでしょう。

 

最高に面白かったです。

ありがとうございました!