自分の妹が毎月購入していた頃、90年代の『りぼん』はまさに全盛期だった。
「ちびまる子ちゃん」
「こどものおもちゃ」
「ご近所物語」
「赤ずきんチャチャ」
「神風怪盗ジャンヌ」
男でも毎月読むのが楽しみになる作品が目白押しのラインナップ。
少女漫画を読んでいるなんて小学生のときは恥ずかしくて言えなかったけど、高校生ぐらいになって蓋を開けてみたら妹がいるヤツは全員読んでいた。
その中で、アニメ化もされていないけれど、我ら兄妹が「こどものおもちゃ」や「ご近所物語」と並ぶくらい気に入り、実家に全巻揃っていて今でもたまに読み返す漫画がある。
それが『ベイビィ★LOVE』だ。
簡単にあらすじを説明すると、4つも年上のイケメンに恋をしてしまった小学生の女の子が、血のにじむような努力の末、高校生に間違えられるほどの長身美女になり、その恋を成就させるまでの物語だ。
何がイイって、主人公 せあら の 一途さ ね。
想像を絶する努力を重ねて、憧れの男の子のために40cmも身長を伸ばしたっていう前提となる設定がまず素晴らしいし、その後の作中の行動も、とにかく目的を達成させるためなら手段を選ばずに必死に泥臭くなりふりかまわずに何でもやる姿が笑えるし泣けるしすごい好感が持てる。
決して綺麗なだけじゃなく汚い部分もしっかり描写した上でこれほど読者に愛される主人公像を描ける作者の椎名あゆみのキャラクター作成能力は素直に素晴らしいよ。
↑ 憧れの人に振り向いてもらうため、小学生には絶対見えないレベルにまで自分を磨き上げた主人公
特に好きなのが以下の場面。
せあらの恋のライバルの、以前修ちゃん(せあらの想い人)と両想いだったと思われる美女。彼女は修ちゃんにフラれた傷を癒すために、別な男と付き合っている。
その美女がせあらに「あなたにはわからないわよ、フラれる辛さがどんなものかなんて―――」って思わず言ってしまうんだけど、それに対するせあらの返答がこれ。
「あたしは柊ちゃんに2回振られている。
でも誰かに頼って傷を癒そうなんて思わなかった。
辛かったけど、苦しかったけど、そんなことしたら、自分も回りも余計傷つくだけだもん。
あたしは自分の気持ちに絶対
嘘なんかつかない!」
このシーン、
めちゃくちゃスカッとする。
ライバルの美女は、悪い人じゃないんだよね。ただ弱いだけ。だから、ここまで、なんとなくモヤモヤするけど、仕方ないのかな~と思って読み進めるんだけど、ここでせあらが一発で全部吹き飛ばしてくれるんだよね。
相手が小学生だから男にフラれた経験なんてないだろうと思ってナメてかかってからの手痛いしっぺ返し。ざまあないですわ。
ていうか、
「私の気持ちがお前にわかるかよ!」
って、敵や悪役やライバルや犯人がよく使う台詞だけど、
これに実体験を伴って「わかる」って返す主人公ってあんまいないよね。
いや、いたか。ナルトもネジに対して言ってたな。
あと黄飛虎も崇黒虎に言ってたか。
でもこうやって思い返してみると、どのシーンもやっぱりわりとスカッとする。
環境のせいにして前に進まないキャラクターに、同じ境遇下にいるのに逆境に立ち向かってる主人公から「気持ちはわかるけどそれが何?」って言われたら、そのキャラクターはぐうの音も出ないし、読者も納得せざるを得ない。良い場面だ。
とにかく、一途で強い主人公 せあら が魅力的な名作『ベイビィ★LOVE』
オススメです。
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