にわかじこみの一般人。

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【ネタバレ考察】とっても!ラッキーマン と バクマン。と 男のロ・マン

とっても!ラッキーマン

 

大好きな漫画である。

 

そして、意外と泣ける。

 

世直しマンの改心。

勝利くんの頑張り。

会長がセンターフライ取るシーン。

 

中でも、ひときわ好きなシーンがある。

 

最終巻の出来事。

全宇宙の命運を賭けた戦いの決勝戦、出場選手を選ぶくじ引きで、ラッキーマンたち主人公チームが引き当ててしまったのは、仲間内最弱のヒーロー「男のロ・マン」。相手は普通に強い奴。予想通り、男のロ・マンは何度も何度も打ちのめされる。しかし、何度倒されても立ち上がり続ける男のロ・マン。ボロボロの姿で立ち上がりながら彼は叫ぶ。「俺は誰もが認める偉大な男になるんだ!」そして、圧倒的な実力差を前にしながら、彼はついに勝負を引き分けにまで持ち込む。自分自身の命と引き換えに…。

いやー、泣いたよね。

こういう話、大好物です。

で、その後はギャグマンガらしく、感動を台無しにするギャグエピソードが待ってるんだけど、そのシーンがまたただのギャグじゃなくて、永遠に分かり合えない男女の真実を風刺的に描いていて、これがまた好きだった。

 

少し解説すると、男のロ・マンが抱いていた「男のロマン」っていうのは、『宇宙一凄い大宇宙神になって、その就任式に、言葉もほとんど交わしたことがないがずっと片想いしているお姫様を招いて告白して結ばれる』というものだったんだよね。激弱ヒーローである彼が大宇宙の神になんかなれるわけねーだろ!ってのは誰もがツッコむところなんだけど、それに対する「簡単に叶わないからこそロマンなんだろうが!」ってのは男なら誰もが共感するところだろう。そして、「そんなもん待てるか!」っていうお姫様のビンタにも、女性なら誰もが共感するところだろう。

 

このギャグマンガらしからぬ妙に力の入ったエピソードに、小学生当時の俺はいたく感動した。

 

ところが、である。

 

時が経ち、2008年、『バクマン。』という漫画がスタートした。

 

その中で、漫画家を目指す主人公が、言葉すらほとんど交わしたことがないめちゃくちゃ美人のクラスの女の子に、「漫画家になれたら結婚してください」と申し込む。女の子の返事は「はい。」 ただし、お互いの夢がかなうまで会うのは止めましょう、という条件付き。

 

ん??

 

さらに、その主人公のおじさんである漫画家も、同じように言葉もほとんど交わしたことがない女の子にずっと片想いし、漫画家になって有名になったら告白しようと思い頑張ったという。ただ、その女性は、夢が叶う前に別な男性と結婚してしまった。

 

んん???

 

そして、そのおじさんの描く漫画には、「漢の浪マン」というキャラクターが登場する。漢の浪マンはすごく弱いダメヒーローだが宇宙一のヒーローになるのが夢でその就任式にお姫様を招いて告白するのが夢なんだそうだ。

 

おいおいおいおい!?!?

 

これって、大場つぐみの、

いや、ガモウひろしの、

実体験なんじゃねーの!?

 

どうりで妙に力が入っていたワケだ…。

 

どのエピソードにも共通する点は以下の通り。

・相手はめちゃめちゃ美人の女の子。お姫様、もしくはクラスのマドンナ。

・言葉すらほとんど交わしたことがない。

・なのに、何故か実は都合よく両想い。

・「夢が叶ったら告白しよう」と思ってる。

・それまでは、絶対に会わない。

 

結末だけがそれぞれ違う。

そして、『バクマン。』の主人公、真城最高は、この夢を叶え、ヒロインの女の子、亜豆に改めてプロポーズしてめでたく受け入れられる、というのが『バクマン。』の最終回になっている。

 

おそらく、おじさんのエピソードが一番真実に近いんだろう。言葉もほとんど交わしたことがない美人の女の子にずっと片想いしていて、漫画家として成功したら告白しようと思っていたけど、その子は別の男と結婚してしまった。と。

実は両思いだったってのはかなり怪しい。というか、言葉もほとんど交わしたことがないのに両想いとかありえないだろ。この辺はガモウひろしの妄想だと思うんですけど、どうですかね、女性の皆さん?

 

よしんば一瞬両想いだったとしても、そんな叶うかどうかわからない夢が実現するのを会わずに待っていてくれる女性なんてこの世に存在するわけないだろう。現実どころか今どきフィックションの中でも嘘くさすぎて白けるぐらいの設定だ。

 

『とっても!ラッキーマン』の、男のロ・マンのエピソードも、

『バクマン。』の最終回で、主人公とヒロインが結ばれるのも、

全てガモウひろしの叶わなかった夢と願望が具現化されたものなんだろう。

だから異様に力が入ってるんだ。

 

だが、辛辣なことを言ってしまうと、『バクマン。』の中での真城と亜豆のエピソードは、作者の自己投影と妄想が行き過ぎていて、正直ちょっと気持ちが悪い。

『バクマン。』自体は非常にいい漫画なだけに、真城と亜豆のエピソードだけめちゃくちゃ浮いている。

正直、『バクマン。』の最終回は、悪い意味で鳥肌が立ってしまった。

 

最後はちょっと悪口になってしまったが、まぁ、作者の気持ちもわかる。『秒速5センチメートル』なんかもそうだけど、男ってのは性根が女々しい生き物なのよ。淡い初恋を超絶美化してずっと引き摺り続けるっていうね。スッパリ割り切ってすぐに前へと進める女性とは対照的である。

 

かのback numberも、アルバム『逃した魚』のジャケット裏に、「あなたの逃した魚はこんなに大きくなりました」って書いたというし、漫画家が漫画を私物化して自己満足全開の願望が叶う妄想を垂れ流したとしてもそれは無理からぬ話なんだろう。男ってのはどこかにそういう部分を抱えて生きているもんなのかもしれない。

 

あ、話がめっちゃ逸れたけど、ラッキーマンは今でも色褪せない名作だよ。

そんな裏話を知った今でも、男のロ・マンのエピソードは大好きだしね。

 

あー、いい加減、全巻買おうかなー。

とっても! ラッキーマン 全8巻セット (集英社文庫―コミック版)

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バクマン。 コミック 全20巻完結セット (ジャンプコミックス)

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