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【読んだことない人へ捧ぐ】3月のライオン が面白い3つの理由

3月のライオン

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珠玉の人間ドラマと、ほっこりとした暖かな家族の物語。

 

 

 

あらすじ

わずか15歳にしてプロ棋士桐山 零(きりやま れい)。家族との軋轢から孤独を抱える彼は、ひょんなことから、3姉妹と祖父と猫3匹で暮らす川本家と出会い、交流を深めていく。23歳のあかり、中学2年生のひなた、3歳のモモ。彼女たちとの交流を通して、零は次第に家族の暖かさを知っていく。

 

 

作品解説

零や彼を取り巻く数多のプロ棋士たちの人間ドラマと、川本家と零がぶつかる様々な問題と、家族の絆。それらを『ハチミツとクローバー』の羽海野チカが、持ち味の柔らかくて暖かなテイストで描いていく。

 

 

① 将棋指したちの、十人十色の人間ドラマ

3月のライオン』のストーリーは、

零をはじめとした、将棋界に身を置くたくさんの棋士たちの、将棋を通した様々な人間ドラマと、

川本家を取り巻く家族模様の物語の、

2つの軸が同時並行で展開されていく。

 

だから、『3月のライオン』のジャンルは、

「将棋漫画」でもあり「ヒューマンドラマ」でもある。

 

その中でもまず1つ目の魅力としてあげたいのは、

将棋を通した、様々な棋士たちの十人十色の人間ドラマだ。

 

「将棋漫画」としての『3月のライオン』の主人公は、零だけではない。

将棋連盟に身を置くあらゆるプロ棋士たちが代わる代わる主役を演じ、

それぞれのストーリーを紡いでゆく。

 

このストーリーが、どれもめちゃくちゃ良い!

 

最年少プロ棋士の15歳の少年から、永世位目前の66歳のおじいさんまで、

年齢も立場もバラバラな人たちのドラマをこれほど描き分けられるのは、

そしてそのどれもが胸にズシッと来るのは、本当にすごい。

 

個人的に特に印象に残っているエピソードは、『焼野が原』。

あと1勝で永世位を獲得するというタイトル戦に挑む、

66歳の現役最年長棋士、柳原が主人公となる話だ。

 

詳しい内容は読んでからのお楽しみなので割愛するが、

この話の何が好きかって、

15歳の少年の苦悩や葛藤を描きながら、

66歳のおじいちゃんの信念や執念をこれほどリアリティと迫力を以って描けるのは

本当にすごいってこと!

 

なんてったって、単行本8巻の表紙は、柳原のおじいちゃんピンである。

元少女漫画家の描く漫画の単行本の表紙が、おじいちゃんの単独出演。

 

このエピソードこそが、この『3月のライオン』がどういう漫画かを

強く象徴しているようで、たまらなく好きなのだ。

 

もちろん、素晴らしいエピソードは柳原さんだけではない。

零くん、二階堂くん、島田さんや宗谷さん、滑川さんに至るまで、

魅力的な『主役』が目白押しだ。

 

プロ棋士たちが悩み、もがき、葛藤しながらも前へ進む姿を、

ぜひ味わってほしい。

 

 

② ほっこりと暖かい、川本家の家族模様

3月のライオン』の2つ目の魅力、

それは何と言っても、川本3姉妹が作り出す家族の暖かさだ。

 

この3姉妹がまた全員かわいい

そして全員天使のように性格がいい。

彼女たちが作り出すほっこりとして優しくて暖かい空気に、

読んでるこっちまで心がぽかぽかと癒されていく。

零くんやお祖父ちゃんやネコたちも合わさって、

川本家の紡ぎ出す「幸せな家族の空気」はもうホント魅力的なものになっている。

 

そんでまた彼女たちが作る料理や食べる食べ物が全部むちゃくちゃおいしそう

グルメ漫画ばりに食べ物の魅力を目を輝かせて解説する3姉妹がまたかわいい

それを食べる3姉妹と零くんのリアクションがもうほんと幸せそう

この漫画の「食べもの」の魅力って結構かなり大きいと思うよホント。

 

羽海野チカ柔らかくて優しい画風と作風が、

この「家族」の描き方にものすごいマッチしているのもミソ。

この空気感は、彼女にしか描けない。

 

それだけに彼女らを泣かせるいじめとか父親とかの問題はもう本当許せないんだけどね。

だけどその分解決したときのカタルシスも大きい。

 

3月のライオン』は、川本家を眺めているだけで幸せになれる漫画でもある。

ひたすら可愛いものを眺めてほっこりした気分になりたいなら、

ぜひともオススメしたい漫画だ。

 

 

③ 救いのある展開

人間ドラマが売りの作品であるから、

プロ棋士たちも、川本家も、けっこうな頻度で大きな壁にブチ当たる。

そりゃもう、読んでてちょっと辛いときもある。

 

でも、この漫画、どのストーリーにも、

最後には救いのある展開が待っている。

 

大きなハッピーエンドを迎える時もあれば、

ほんの少しだけの希望が見えるだけのところで終わるときもあるけど、

登場人物が顔を上げて前を見据えて終わるところは共通だ。

 

それも、ストーリーの都合で運よくハッピーエンドになるんじゃなくて、

主人公たちが、悩みもがいて葛藤しながらも、歯を食いしばりながら耐え抜いて、

一歩ずつ一歩ずつ必死で足元を踏みしめて前に進んだ結果、

ほんの少しの希望の光を掴むことができるというのが素晴らしい。

 

話の都合とか不自然なラッキーで主人公が上手くいくのなら、

「あぁ、フィクションの中の出来事だなぁ」って、

自分の世界と切り離して考えちゃうけど、

主人公が必死で一歩ずつ前に進んだ結果、自分の力で希望を掴むから、

「自分も頑張ろう」って思えるんだよね。

 

「明日も頑張ろう」って。

 

そう、思える漫画。

 

 

まとめ

プロ棋士たちの将棋を通した十人十色の人間ドラマと、

おいしそうな食べ物とほっこりした空気に包まれた川本家の暖かさに、

読んだあと「明日もがんばろう」って思える漫画。

 

 

ぜひ一度、読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

~バティ漫画ランキング(青年時代編)第8位『3月のライオン』~