今までのレビューで散々
泣いた
号泣した
涙が止まらなかった
と言ってきたけど、
今までの人生で一番 漫画で泣いたのは、
間違いなく、この漫画の、あの場面だ。
涙どころか、嗚咽が止まらなかった。
顔を上げられなくて、しばらく続きが読めなかった。
あらすじ
祖父の莫大な遺産を相続してしまい、親族に命を狙われることになってしまった少年、才賀 勝(さいが まさる)。そんな彼を助けるため、2人の人物が現れる。1人目は、勝と偶然出会った、人を笑わせていないと呼吸困難に陥ってしまう「ゾナハ病」という奇病を患った拳法家、加藤 鳴海(かとう なるみ)。そして2人目は、祖父の命を受け勝を守るために現れた、「あるるかん」という巨大な操り人形を操って戦う、『しろがね』と名乗る美女。次々と迫りくる親族たちの刺客と戦う、勝、鳴海、しろがね。しかしそれは、あまりにも深く果てしない因縁に彩られた、途方もなく長い長い戦いのはじまりにすぎなかった―――。
① 数百年に及ぶ 果てしない伏線が紡ぐ、壮大な物語
からくりサーカスの魅力といえば、とにかく緻密に張り巡らされた伏線と、
その伏線回収による衝撃的な展開なのだが、
その伏線と因縁はなんと数百年にも及び、
世界中に散らばるありとあらゆる人間が物語を紡いでいく。
数百年前のとある事件から、現代まで連綿と続く因縁の糸が、
世界中にちらばる多くの人物を巻き込みながら、複雑に絡み合い、
やがて壮大な物語を紡いでいく。
もうね、このスケールの大きさと、ストーリーの緻密さが、
『からくりサーカス』はホントにすごい!
これはもはや大河だ。
伏線の張り巡らせ方と回収の仕方も見事という他ない。
衝撃的な真実が明らかになる場面、
意外な人物の名前が意外な場所でつながりを持つ場面、
はるか昔に登場した人物がここぞというシーンで再登場する場面、
とにかく、鳥肌と驚嘆の声が止まらない。
1回目読んだときは衝撃の展開に背筋がゾクッとなりっぱなしで、
2回目読んだときは、1回目には気付かなかった張り巡らされた伏線描写の数々に
感心のため息が止まらない。
1粒で2度美味しい漫画である。
からくりサーカスの魅力①
①-1.数百年に及ぶ壮大なスケールの物語
①-2.張り巡らされた伏線と衝撃的な伏線回収
② 魂を揺さぶる、キャラクターの「死に様」
からくりサーカスでは、人がバタバタと死にます。
メインキャラクターだろうと容赦なく死んでいきます。
そりゃもう終盤のクライマックスにもなるとすごいです、
毎話1人とか2人とかのハイペースで死人が出ます。
でも、その死に際のシーンがとにかく良い!!
命を賭けて戦うキャラクターが最期に放つ光の、
そのすさまじい眩しさに全力で魂を揺さぶられます。
右に出る者はいないと言われる漫画家だけど、
彼が描く死に際のシーンの素晴らしさは正確に言うと
「死に方」ではなく「生き方」なんだよね。
死に瀕したキャラクターが最後に魅せる、「生き様」。
その行動に、台詞に、表情に、
僕らは心を震わされて、号泣させられてしまうんだなぁ。
特に表情の描き方がすごい!
これは、死に際に限らず本当にすごい。
中盤、あるシーンで主人公の鳴海の怒りを表現するために、
彼の表情をペンも筆も使わずに「指」だけで描いたというのは有名な話。
とにかく、ありとあらゆる場面で、キャラクターたちの心情を
表情だけで見事に描き切ってる。
怒り、憎しみ、悲しみ、絶望、悪意、喜び、愛情、安堵、決意。
真剣な表情、鬼気迫る表情、歪んだ表情、怒りに満ちた表情、
愛に溢れた眼差し、優しい笑顔。
これだけ魂揺さぶる絵を描ける漫画家は、そうそういないよ。
からくりサーカスの魅力②
②-1.死に際に魅せる、キャラクターの「生き様」
②-2.圧倒的画力で描かれる、魂揺さぶるキャラクターの「表情」
③ 25巻収録の、とある「名場面」
「からくりサーカス」の最大の魅力の一つであり、
今回のレビューでどうしても伝えたい最後のポイントは、
漫画全体の魅力じゃなく、
ピンポイントの、とある「ワンシーン」だ。
物語の中盤、巻数でいうと25巻に収録されてるんだけど、
とあるキャラクターが退場する場面。
この名場面こそが、
からくりサーカス最大の魅力の一つである。
このシーンは、全漫画の歴史に残る名場面だ。
冒頭、今まで生きてきて一番泣いた漫画のシーンは
この漫画にあるって言ったけど、それがこの場面。
今日、このレビューを書くために、
からくりサーカス25巻のレビューを他の方のブログで読んだんだけど、
それだけで泣きました。
それどころか、からくりサーカス知ってる人なら、
「べろべろばあ」って言葉だけで泣く。
実際、これを書きながらこの言葉を思い浮かべて、
すでに俺は泣いている。
上記の方のレビューで、この場面のことを、
漫画史上最大の奇跡を呼び起こすって説明してたけど、
まさに言い得て妙だ。
それまでの軌跡を含めて、こんなことが起こったことが
この漫画の世界の中でも奇跡だし。
こんなに美しくて泣ける素晴らしい場面が、作品が、
この世に産み落とされたという意味で、
漫画の外の世界、現実の僕らの世界にとってもまさに奇跡だ。
俺の中でのこの漫画のランク付けが、青年時代編で4位であることから分かる通り、
全体を通してならこの漫画よりも好きな漫画は割とある。
だが、「好きな漫画の『場面』は?」って問われたら、
このシーンは全ての漫画の中で3本の指に入る。
あぁもう!ネタバレになるから
説明も考察も解説も論評もできないのがもどかしい!!
もうとにかく、読んでみてくれとしか言いようがない。
この場面を目撃するためだけに、この漫画を読む価値はあると断言できる。
そして、このシーンに出会わないことは人生の損失だとも。
からくりサーカスの魅力③
③-1.25巻に収録された、漫画史に残る最高の「名場面」
まとめ
いかがだっただろうか。
絵的には、わりととっつきにくい方の漫画だとは思うが、
最初は我慢してでも読み進めてほしい。
読み終わったときには、この漫画を読んでよかったと、
この漫画に出会えてよかったと、絶対思うはずだから。
俺はそうだったよ。
おまけ
自己満足的企画
からくりサーカスの好きなシーンBEST10
第1位:べろべろ、ばあ
第2位:大好き。
第3位:見ているじゃないか…パンタローネ…
第4位:幸せにおなり…だ…
第5位:私は言われたぞ!ピアノをまた弾いてねと!!
第6位:で…お代は…いかほど…いただけるんで…
第7位:迷わず…お描き…自分の…絵を…さ…。
第8位:神サマ、このナイフが、このナイフが…当たったら…
第9位:嬉しいな、やっと男の人に、抱きしめてもらっちゃったア。
第10位:後ろのやつ…頼もしいぜ!
うーん、10分の8がキャラクターの死亡シーンなのが、
からくりサーカスの凄惨さを物語ってるなぁ。
~バティ漫画ランキング(青年時代編)第4位『からくりサーカス』~

からくりサーカス 全43巻 完結コミックセット (少年サンデーコミックス)
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/01
- メディア: コミック
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る