アニメではコメディ部分だけがピックアップされて完全なギャグアニメになってたけど、
原作では終盤にはけっこうな鬱展開が待っている超どシリアスな漫画だ。
だけどその分、真剣に泣かせにくる。
今まで紹介してきた作品とは違い、バトルやスポーツみたいな戦いじゃなく、
純粋な、人間ドラマによる、「泣ける漫画」
今日は、そんな漫画を紹介しよう。
あらすじ
TV番組にも出演している人気子役、倉田 紗南 は、自分のいる6年3組の学級崩壊に悩まされていた。先生は弱みを握られ、教室内では男子が好き放題暴れ回り、授業のできない日々。その首謀者、羽山 秋人 をこらしめ、事態を解決してやろうと羽山を尾行した紗南は、そこで思いもよらないものを目撃する。それは羽山の、あまりにも悲しくて痛ましい家庭事情だった———。
① 親子の愛の描かれ方
個性豊かな登場人物が織りなす様々な人間模様を見事に描き、
話の要所要所で泣かせにくる この「こどものおもちゃ」だが、
個人的にこの漫画で一番泣いた2つの場面は、
両方とも、「母と子供」の絆が描かれたシーンだった。
りぼんに載ってる少女漫画って、たいていは男女の甘酸っぱい恋愛物語だ。
ところが、この漫画は、男女の恋愛ももちろん描いていくけれども、
作品のありとあらゆるところで様々な親子の形が描かれていく。
そして、作品のクライマックスでピックアップされるのも、親子の絆だったりする。
考えてみれば、ここまで親子というものがクローズアップして描かれた少女漫画は他にないかもしれない。
特に4巻の、実紗子が紗南に自分の真意を伝えるシーンは必見。
ここは今思い出しても泣く。
読み返して、じゃない、思い返しただけで思い出し泣きするレベル。
② テンポがよくてめっちゃ笑える会話劇
シリアスで鬱展開で泣ける漫画である一方で、
コメディ部分だけ抜き出してギャグアニメが一本作れちゃうほど
笑える漫画であるのもこの漫画の凄いところだ。
シリアス展開も多いが、基本的に主人公の紗南はお調子者で漫才気質の
めっちゃ明るい性格で、終始周囲を巻き込んで漫才劇を繰り広げていく。
テンポがよくスピード感のある会話、
漫才のようにキレのあるボケとツッコミが繰り返される掛け合い、
下手なギャグマンガよりフツーに笑える。
そして明るいシーンはしっかり笑えるからこそ、
いざシリアスになったときにしっかり感情移入して、めっちゃ泣けるんだと思う。
③ 「子供な大人」と「大人な子供」
"おとな"と"こども"の対比がこの漫画のメインテーマだからか、
この漫画には様々な大人が登場する、
そして、失敗したり、ダメなところを思いっきり見せながらも、
一方で、同じ人物が、しっかりと子供を良い方向に導いたりもする。
その姿を見て、連載当時小学生だった自分は、
「あぁ、大人も、自分たちと同じ人間なんだなぁ」
と強く思った。
同時に、紗南たち"こども"の側も、
ときに、いや、しょっちゅう、大人顔負けの意志や行動を見せつける。
「子供はわれわれ大人が思ってるほど子供ではありません。
大人も自分たちで思ってるほど大人ではないですしね。」
(作中より、名もなき警察官の台詞)
これこそが、この作品の最大のメッセージかもしんないな。
みーんな、失敗もするし、しょーもないとこもいっぱいある。
それでも、前を向いて、一生懸命生きていく。
おとなもこどもも、みんなおんなじ一人の人間なんだ。
【この漫画を特にオススメする人種】
人間ドラマで泣きたい人
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